caguirofie

哲学いろいろ

空の空なる・・・

vanitas vanitatum, et omnia vanitas――胎動のころ―― アンニュイ を感じている いま 外は雨 梅雨明けだというのに 先日からしつこく 降っている きょうは土曜日 きょうで今週もおわる l'ennui, c'est un ennnemi ou bien un ami ? 沈 滞 倦 怠 無 感 動 何も…

調べ

métrique, rythmique et syllabique 長短の 古えの波 男女の波 希臘の栄華 羅馬の荘厳 北方の 山谷越え征き 大移動 海賊の民は モールス信号 明晰の 羅典の後裔 トントンと 六つ六つと 拍子取りつつ 秋津島 大和の民は 裏表 七五 三四と 波打ち寄せる

Château Noir-et-Blanc

I woke up one afternoon to find myself somewhere within a certain cemetery on a certain hillside. It was such a sunny afternoon time that I found myself even veiled wth bright and warm sunlight in a rather wide recess on the hillside the m…

風薫る夜( la nuit balsamique )

床に就いて一日の疲れを休めるようにぐったりと横たわると 開け放した窓から夏の夜の乾いた風に乗って線香の匂いがぷんと一閃した。ふとその一瞬の光明の中に(線香の匂いが 光明だったのだ) 或る通夜の晩が彷彿とよみがえって見えた。 六・七人の弔いの人…

青春

わが内なる思いと わが口より出づる言葉と わが顔よりあふるる表情と いづれが真実か

A la musique

A la musique――鼓舞―― 冴え渡る調べ妙なる天の音の 情景の彷彿と舞う階調の イマジナシオンはエロスの深きに 紫の煙漂う空の園 調べ舞うやさしき森の陽の都 哀しき性も翔けて悲しき 乙女らの浴びる泉の楽の郷 愛の夢澄みて過ぎゆく軽騎兵 行進曲の跡すがすが…

たゆたえど沈まず 2

馬に乗る シャルルマーニュは 船縁の シテの寺院前庭(パルヴィ)に ふさふさと 美髯をたくわえ 高々と 長槍を構え 厳かに 帝冠を戴き 中世の 騎士の華々 くつわ取る 勇者ローラン くつわ取る 賢者オリヴィエを 従えて この伽藍より 西欧(オクシダン)の 統…

たゆたえど沈まず

たゆたえど沈まず( Fluctuat nec mergitur. ) 水晶球の中のコップの中に入った私の中のパリ 花の都 パリ 朝まだき 曙の 初日のいまだ 届かぬ頃 層を成して居並ぶ 石の蔵が 処々に四角く 斑点の 灯りを仄かに 浮かべる頃 どぶねずみらの 走り去る ヴァンド…

J'aurai demain matin dix-neuf ans.

O mon angoisse, ma chère peine, D'où venez-vous, ô ma chère reine ? J'aurai demain matin dix-neuf ans. Mais, quelle est cette inquiétude Que je chérie depuis quelques temps Comme déesse, comme étude ? O mon angoisse, ma chère peine, D'où v…

新所帯 ( Jeune Ménage )

ああ部屋は濃き藍色の空に曝され 箱手箱 部屋一杯の散らかりよう 塀沿いに馬の鈴草茂り放題 幽霊の歯茎震わせギイイギギガア これはまさしく精霊の仕業 この濫費 この乱雑 阿弗利加の仙女が部屋の隅々に 桑の実もたらし鉛の網張る 数人のふくれ面した代母た…

オフェリア( Ophelie )

オフェリア A.ランボー ? 星宿す 暗き水面(みなも)に 白百合は ヴェールに包まれ 空仰ぎ 静かに流れ・・・ 森のかなた 角笛響く オフェリアは 哀しき幻 時を経 闇の河流れ 時を経 ロマンス語る 優しくも 狂おしき魂 そよ風は 乳房そよ吹き 白きヴェール 花…

心に涙の雨が降る( P. Verlaine )

心に涙の雨が降る 街にやさしく雨が降る ――アルチュール・ランボー―― ( P. Verlaine ) 心に涙の 雨を降らせ 滲みこんでくる この物憂さ 屋根に落ちる 甘い音よ けだるい心に 雨の歌よ わけもなく 降る涙 叛逆?? 否 喪だ 悲しく痛く わけもわからず 愛も…

秋のうた(Verlaine)

秋の ヴィオロンの すすり泣き長く 私の 心はその ものうさに疼く 時の 鳴るとき息 苦しく蒼白く 私の 旧き日々の 想い出され泣く 不倫の 風の誘うまま 私は彷徨う 落ち葉の ごとくただ あちこちと迷う Paul Verlaine: Chanson d'automne 《 Poèmes saturnie…

《われ》は他者である( Rimbaud )

《われ》は他者である ・・・ ロマン派の思想が正しく理解されることは全くなかった。これまでの評価は 誰が下したというのか。《批評家》か。《ロマン派の連中》だって? 歌というものはごく稀れにしか一つの完成作品ではないということを すなわち歌い手に…

幻想曲(ド・ネルヴァル)

それは私にとって至上の歌曲(アリア) そのためなら ロッシーニも モーツァルトも ウェーバーの すべてをも惜しむまい 弔いを 送るように 気だるく 流れる いにしえの 詠唱(アリア) ひとり私に 秘密の魔力を 発揮する これを聞くときいつも私は 魂の若や…

この世の薔薇(イエイツ)

美は一抹の夢にすぎぬと 夢の中でにせよ 誰が見て言うのか 悲しみの――そう 新しき 奇蹟はもはや起こるまいと 悼むその――誇りをもって かれら赤い唇にとっては トロイは重たい弔いの一閃のうちに 過ぎ去ってゆく ウマナの子らは亡くなった われわれと労働する…

真昼(ド・リル)

平原にはびこる夏の王 真昼 音もなく天(そら)から落ちる 銀の布 静寂 燃え盛る大気 そよともなく 大地は火の衣を纏って うとうとする 果てしなく 野には一点の陰もなく 羊の群れに 涸れた水源(みなもと) かなたに森は 縁(ふち)は薄暗く じっと眠る 重…

ミラボー橋(アポリネール)

ミラボー橋の下をセーヌの河が流れ 僕らの愛は 僕に想い起こさせるのか 喜びはいつも苦しみの後に来たものと 夜は更け時が鳴り 日々は過ぎゆき僕は留まる 手を結び互いにふたり向かいあえば 僕らの腕の 橋をくぐって流れ去るは 永遠(とわ)の眺めの緩やかな…

ナルシスは語る(Valery)

・・・・・・・ナルキッサの霊を鎮めるために ああ兄弟 悲しい百合よ 私は美を患い おまえたちの裸身の中に私自身を願い ナンフ ナンフ 泉のナンフと おまえたちに 私は至純の沈黙において私の空しい涙を捧げに来たのだ 深い静寂は私を聞き届け 私はそこに希…

私はおまえとともに・・・( A.Artaud )

私は おまえとともに 死者の地にある 現実の極地 悲痛のきわまった地 私にとってここは もはや異国では ない おそらくそれが いまのわたしの唯一の勝利 だ Je suis avec toi sur la terre des morts Sur la terre la plus réelle sur la terre la plus amère…

聖女( Mallarme )

この窓を 覗くと映る 古い白檀 に金箔が 浮かび上がる 笛(フリュート)や マンドリンが取り囲む 中でこの金ぴかの 絃琴(ヴィオル) を弾く青ざめた聖女 は古い本を ひろげて坐り 晩鐘の音とともに聖母 唱歌が きらきらと流れる 沈黙の楽人 が白檀もなく 本…

扇( Mallarmé )

扇 わが妻の 空に向かってひと煽ぎすりゃ 言葉なんてつかまるものさ などと未来の詩は 古巣の気取りから離れてゆく 翼を低く垂れて翔ける伝言使 この扇が 仮りにこの扇がそんな使い であったなら 仮りに おまえの後ろの鏡に 透きとおって映るこの扇が そんな…

海の光景( Rimbaud )

銀や銅の 戦車は 鉄や銀の 船首は 水しぶきを 上げて 茨の株を 根こそぎにする 荒野の潮 の流れが 引いてゆく 海の巨大な 轍(わだち)が 輪を描いて 東へと向かい 森の支柱へと 突堤の 樹幹へと 進む その縁辺に光の渦は 交差している A.Rimbaud: Marine, …

儚いガラス瓶の・・・( Mallarme )

〔ソネット〕儚いガラス瓶の・・・(S.マラルメ) 儚いガラス瓶の 臀部の回転から飛び出して 身寄りのない頸は 不意に 言葉を断つ 重苦しい通夜を 花飾ることもなく お母さんは恋人と二人で 同じ幻想の 泉(シメール)からは ついに 飲まなかったと思うわ …

橋( Rimbaud )

灰色に結晶した空 奇妙に連なる橋の構図 手前にはまっすぐな橋 後ろには円く張り出した橋 そこへほかの橋が あるいは斜めになってかぶさる 運河は緩やかに迂回して 明るくなったところにまた 同じ構図が浮かび上がる けれど すべて のびやかに ふんわりと映…

ロンドンのひとりの子どもの砲火による死を悼むを拒む( D. Thomas )

決して・・・ 人類を造り出し花鳥そして 獣を産み すべてを貶めるあの闇が 沈黙を守りながら 光明が突き破り出ようという最後の 静寂の時が 常なる流れの中につまづきながらも 海から到来する ことを告げるまで 決して・・・ また私が再び潮の数珠繋ぎのあの…

無題のソネット(Mallarmé)

《不安》は聖火ランナー (ランパドフォール)のように この真夜中 縞瑪瑙(オニックス)の光る 清らかな爪を高く掲げて 宵の夢を見続ける あまたの夢も あの不死鳥(フェニックス)に あまりにもきれいに 焼き尽くされて 灰を納める壺 (アンフォール)も …

海のそよかぜ( Mallarmé)

肉体は悲しい すべての書物を読み終えた 逃避 彼岸へと 鳥どもも 酔ったように翔ける 未知の 泡と空の間を ひなびた公園など 海の 中へ 濡れてゆく心を 引きとどめようともしない 夜 清浄の白い紙を 照らす 荒んだ明晰も 消え 幼児に乳を与える若い 女も さ…

蛇の素描( Valery )

( ébauche d'un serpent ) そよ風に くすくす揺れる 樹の上の 蝮のわたし 微笑みは 歯を突き抜けて 情欲は ぎらぎら輝き 三角の エメラルドから 重なった 舌をつき出し 花園を さまよい荒らす 毒液は 鱗の下に おとなしく 卑しく隠す 賢明な わたしは毒蛇 …

風の精(シルフ)( Valéry )

見られず知られず 生きているのか 死んでいるのか 風とともに来て 見られず知られず 偶然? それとも精霊? 来たかと思えば 用もおしまい 読まれることなく 誰も分からない 至高の精神にさえ 見られず知られず それは 肌着を着替える 胸もあらわな 時間