caguirofie

哲学いろいろ

オフェリア( Ophelie )

オフェリア  A.ランボー


?


星宿す 暗き水面(みなも)に
白百合は ヴェールに包まれ
空仰ぎ 静かに流れ・・・
森のかなた 角笛響く


オフェリアは 哀しき幻
時を経 闇の河流れ
時を経 ロマンス語
優しくも 狂おしき魂


そよ風は 乳房そよ吹き
白きヴェール 花冠(はな)とはだける
川柳 肩にうなだれ
葦の群れ 額にしだれ


睡蓮は 息もあらわに
榛の木の 小鳥が一羽
羽震わせ 流れ見守る
瞑想の 歌送る星


?


ああ蒼き 雪のオフェリア
そうおまえは 流れに逝った
ノルヴェージュの 吹きすさぶ風
語りかけ 自由の芽刈り


精霊に 神の吹き込む
物の音に 髪ふり乱し
木のうめき 夜の溜息
心占め 凱歌あげつつ


狂う海の 巨大な喘ぎは
情を占め おまえの胸裂き
春の朝 美男の騎士は
口閉ざし おまえの膝抱き


天に愛に 哀れおまえは
溶けてゆく 火の中の雪
幻影に 言葉死に絶え
無限の前 立ちすくむ


?


今詩人は こう手向けよう
《おまえは夜 星の光に
《花集め 白きオフェリア
《百合と化し 流れ漂う


1870年5月15日

Arthur RIMBAUD:Ophélie 《 Poésies 》