caguirofie

哲学いろいろ

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

彷徨

エピキュリアンの風車が 波も立たないのに 粉を碾いているから 進むまい 退くまい 侮蔑の風が 吹きすさんだのだから 取り騒ぐまい 風道が断たれた 心配も致すまい 石臼が回帰をうたっているなら 環球が動いているのだから いつも別離からの旅だ 理解の旅路を…

衣裳革命

森のかなたに舟が乗り上げ 枯渇したおおかみが 孤影の塵を巻き上げて 赤く焼けた稜線が 千年王国を迎えるがごとく 両手を打ち拡げて ぼくはゆえもなく衣裳が剥げて ビル街の丘に立ち昇り ちちを祭っていた 昼下がりからの遠吠えが湧きあがっていた いっぴき…

階段

階段をのぼると階段がある 階段をおりると階段である 山なみが 遠く 手の届かないところにある 階段の信仰を捨てたのだから 街路樹は平坦である 同じ朝陽がのぼって よどみない運河である みちがのぼる ケーブルカーを喰ったのだから ゆく足が目舞いして た…

猟犬

わたしがたわむれて エアー・ポケットがおしだまって 断 層がわらいながら うみおとす 卵 猟人が 白い肢を伸ばして 狩り集める はめ絵細工 〈わたし〉よ おまえのものなんかじゃないよ 〈猟人〉に訊いてごらん かれの犬が狩り集められる そんなとこさ

刹那が鍵

知恵の輪を組み立てる そとへ なかへ夢が鍵 歴史を逮捕する 手錠が喰い込んで 白昼夢に 変わる刹那 夢という現実 いや 現実という夢が 口をかばのように開けていた しらけという革命 手錠が鍵? 手錠が夢なの?

塔のうた

水平線を染める 赤い朝 静やかに のぼるやしろは 鮮やかな 銀緑 紫の塔をころがして 想うにあらず 想わざるにあらず 青い空を映して 波間の 島と島とのあいだの 磁場に 動く 島が動く 一瞬を見たのだろうか 塔を漕ぐ やからの海に きょう 赤い赤い朝がのぼる

屈折

すきとおった陸に刺さる 麦わらの管が折れる うるおいの月面から酸素が漏れる 理性が突き抜けて ひかりが屈する 網膜がながめる 快 明 楽 屈折が屈折であるとき 宇宙に衣を着せる 夢が夢である日

現代を知らぬ現代

熟爛の風が 葉脈を伝って 樫の幹が 踊っている 〈明日〉を跳ぶ年輪が 倦怠の幅のあいだを ホップ108 ステップ216・・・ 樹の顔が ゆがみ 汗を出す 根毛が 地冥の中を 愛撫している 生長点から 葉群れが揺れて 気孔が まさぐっている 虚空を 葉片の生理…

有明け

α 空を運ぶ という雲は いつ 墜落したのか 〈むかし〉はどこに 失速したのか 風を飛ばした という 人びとは 追憶の押し花をあらたに敷きつめないでは 風を飛ばそうからには 見ない 赤い空を 〔しかも〕 ムイシキが 明日の昼下がりの夢を解剖しないでは 円い…

同形の世界を降下する

たぶんそこは 何も泳いでいないだろう そこを知るというあんこうのほかは の深い森を 終わり無く降下する 存在は お花畑を見たように思っている 大木の地滑りがのぞかせる隙間に かれはたしかにつかれている ある尖棒によって そして降下する

Il suis le meme.――らんぼーではないけれど・・・

Il suis le même.――らんぼーではないけれど・・・ よんではいけないよ よまれてもいけない まじっく・みらあのように かれと並んで立つとき 奇妙なふたご座が わたしたち遊星のあいだに 気の遠くなる時間が 翔び交う夢を ゆめみるものだ 夢があたかも現実で…

Improviso

たとえば人は 父と酒を酌み交わす事に拠って そうたい の世界に 入って行くのであろうか 或い は 逆に 乱舞のなかで バッカスという 父の懐に抱かれる事に拠って だろうか 詩人は しかし 一体 此の世界に住むのであろうか 例え ば ポールは 墓地にしゃがんで…

言葉

ぼくはここまで来てしまった やっと 初心の船酔いだったかも ちょっと時化ただけだったか やっと ぼくの側でなく 諸君の側において いや 諸君の側においてでもなく やはり ぼくの側において 大きな牝鹿を捧げて その牝鹿こそが この 水原の色彩―― 淡い痛手 …

O Odin !

なんとしても ここだけ うまく うたえないんだ ねむれ ねむれ ねむれよ ぼうや 死を死んだのちに立て 汝 驕児よ Valkyria !! 手を その手を!

キリマンジャロの雪

リヴィングストン博士ではありませんか 都市の空気は自由にするというのに 人の生くるはパンのみにあらず 光は東方から ですか 五斗米のために腰を折らず しかし だからカルタゴは滅ぼさなければならないんですよ ブルータスよ おまえもか ああ 忘恩の祖国よ…

遅れてきたLove Song

In the room the women come and go Talking of Michelangelo. T.S Eliot: The Love Song of J.Alfred Prufrock 乳白の帯から 一億光年の光が 一億と九十九になるまで その明日に向かって 口笛を吹こうよ なら 豊饒の海で踊ろうよ

Smokin' clean または 愛の無能性

鮨詰めにされ 激怒してみまかる 赫い葉を思え 否応無く食道を Uターンする灰色の煙

無題 (バスク語のお勉強)

Ses purs ongles très haut dédiant leur onyx S. Mallarmé 水蒸気を上げる冷酷が ドアをたたく音に 窓で息をしている 光が這い入る 闇の友に両手を広げて ノックの主を尋ねている 雨模様だ

秋津遺跡 大型建物群跡発見 

ヤマト王権の重要祭祀施設か 毎日新聞 11月24日(水)20時6分配信 奈良県御所(ごせ)市の秋津遺跡で、古墳時代前期(4世紀前半)の大型建物群跡が見つかり、県立橿原考古学研究所が24日、発表した。珍しい構造の塀で囲まれた国内最大規模の区画の中に、4…

邯鄲の枕

My house is a decayed house, And the jew squats on the windowsill, the owner... 常軌を掌の上に載せて そっと転がして見せると 新規を視線に載せて ケケケと笑って見せる カカカと鼻で欠伸して スクリーンにふんぞり返る 常軌 おかしみが笑われ 偉業が…

FRATERNITE

FRATERNITE à Σ. Τ. 方舟が過ぎ去って 友づ らの洪水を胃 薬に溶かして 呑むとも[ vocatif ] こっちが わには 一羽 鳥と化して 翔ぶトモ[ subjonctif ] 方舟がまた過ぎ去って

Doctor Frankenstein

赤茶色の煙を吸った血が流れる 衛星の楕円が揺れる 金河の系を取り巻く ワクチンの脳髄が乾く 夜の靄が騒ぐ 透きとおった憂い が綺麗 とあいつは言った ・・・ 赤茶色のヘモグロビンは らせんの輪を舞っては 薄ら闇の細胞を貫き 乾涸びた骸骨にこびりつき ぐ…

ガラス越しに

長の雨がまた降り出したようだ 信号が変わって コーヒー色の涙が 歩道を横切って来た 園児の母の傘のブレーキ 渡ったようだ 交差点のコーヒーの二つのカップ なんぢの砂糖のオデュッセイ われの信号の交通整理 一瞬のスプーンが 果てしない荒野を現じたよう…

九回裏の恐怖

深海のあんこうが 翼を生やして飛んだところでどうなるのか どんよりとにじむ 傷口を昼行灯で照らして 動脈のありかを探すべきだ 飛び魚がはねたところで 密室の秘儀が官能を失うとでもいうのか 戦後だの六十年代だの 航路を追って汚物を告発しようというの…

巫女と共同幻想

巫女と女性と共同幻想――フロイトと吉本隆明 つぎの吉本の議論について (α)から(ε)までの命題をめぐって その内容をおしえてください。

Spivak

Glossary of Key Terms in the Work of Gayatri Chakravorty Spivakhttp://www.english.emory.edu/Bahri/Glossary.html Ethical responsibility/Ethical singularity マ(間・間合い) Margins/Outside たぶん 周縁・外部という位置づけは あまり生産的では…

Miss Robinson

小道具は何もない 海という大道具 海底の嵐がドーランをにじませて 毎年 緞帳芝居がはげてゆく 貿易風をジュースにして 街の記憶を取り戻そうと 衣裳を引き裂きながらまた愛の幕が上がった 酔客が心の床を踏み鳴らそうと

栄冠

Action-----the first thought, or perhaps the first impulse, on earth ! -------Joseph Conrad : VICTORY 鏡張りの原野に受精 したもぐらは 鏡の背面にしがみつくもぐら を見てしまった と憑かれた けらが笑う ばったが小躍り 皺を引き伸ばして 海にもぐ…

ロビンソンの方舟

ロビンソンの方舟 ――à Simon Bolivar―― 1 ロビンソンの孤島に波が立ち 帆がはためいている まだ 三日月だというのに ロビンソンの孤島に雪が降り 帆柱は雪にうづまってしまった 太陽が山羊座に入って さらに 南へ 黄道をそれたのだ 北東の貿易風がはるか氷…

哀しみをちからとして

Je est un autre. と嘆く私と Elle suis le même. と誇る私と 老練な妖艶が 私《 Je 》のまわりを翔び交い 偽りのクピドーの矢を射かけてくる 両極が放電してやまない私だが 搦め手《 Elle 》は 不実の《 Je 》を開門して (このとき互いの自由電子のはねつ…