caguirofie

哲学いろいろ

遅れてきたLove Song

In the room the women come and go Talking of Michelangelo. T.S Eliot: The Love Song of J.Alfred Prufrock 乳白の帯から 一億光年の光が 一億と九十九になるまで その明日に向かって 口笛を吹こうよ なら 豊饒の海で踊ろうよ

Smokin' clean または 愛の無能性

鮨詰めにされ 激怒してみまかる 赫い葉を思え 否応無く食道を Uターンする灰色の煙

無題 (バスク語のお勉強)

Ses purs ongles très haut dédiant leur onyx S. Mallarmé 水蒸気を上げる冷酷が ドアをたたく音に 窓で息をしている 光が這い入る 闇の友に両手を広げて ノックの主を尋ねている 雨模様だ

邯鄲の枕

My house is a decayed house, And the jew squats on the windowsill, the owner... 常軌を掌の上に載せて そっと転がして見せると 新規を視線に載せて ケケケと笑って見せる カカカと鼻で欠伸して スクリーンにふんぞり返る 常軌 おかしみが笑われ 偉業が…

FRATERNITE

FRATERNITE à Σ. Τ. 方舟が過ぎ去って 友づ らの洪水を胃 薬に溶かして 呑むとも[ vocatif ] こっちが わには 一羽 鳥と化して 翔ぶトモ[ subjonctif ] 方舟がまた過ぎ去って

Doctor Frankenstein

赤茶色の煙を吸った血が流れる 衛星の楕円が揺れる 金河の系を取り巻く ワクチンの脳髄が乾く 夜の靄が騒ぐ 透きとおった憂い が綺麗 とあいつは言った ・・・ 赤茶色のヘモグロビンは らせんの輪を舞っては 薄ら闇の細胞を貫き 乾涸びた骸骨にこびりつき ぐ…

ガラス越しに

長の雨がまた降り出したようだ 信号が変わって コーヒー色の涙が 歩道を横切って来た 園児の母の傘のブレーキ 渡ったようだ 交差点のコーヒーの二つのカップ なんぢの砂糖のオデュッセイ われの信号の交通整理 一瞬のスプーンが 果てしない荒野を現じたよう…

九回裏の恐怖

深海のあんこうが 翼を生やして飛んだところでどうなるのか どんよりとにじむ 傷口を昼行灯で照らして 動脈のありかを探すべきだ 飛び魚がはねたところで 密室の秘儀が官能を失うとでもいうのか 戦後だの六十年代だの 航路を追って汚物を告発しようというの…

Miss Robinson

小道具は何もない 海という大道具 海底の嵐がドーランをにじませて 毎年 緞帳芝居がはげてゆく 貿易風をジュースにして 街の記憶を取り戻そうと 衣裳を引き裂きながらまた愛の幕が上がった 酔客が心の床を踏み鳴らそうと

栄冠

Action-----the first thought, or perhaps the first impulse, on earth ! -------Joseph Conrad : VICTORY 鏡張りの原野に受精 したもぐらは 鏡の背面にしがみつくもぐら を見てしまった と憑かれた けらが笑う ばったが小躍り 皺を引き伸ばして 海にもぐ…

ロビンソンの方舟

ロビンソンの方舟 ――à Simon Bolivar―― 1 ロビンソンの孤島に波が立ち 帆がはためいている まだ 三日月だというのに ロビンソンの孤島に雪が降り 帆柱は雪にうづまってしまった 太陽が山羊座に入って さらに 南へ 黄道をそれたのだ 北東の貿易風がはるか氷…

哀しみをちからとして

Je est un autre. と嘆く私と Elle suis le même. と誇る私と 老練な妖艶が 私《 Je 》のまわりを翔び交い 偽りのクピドーの矢を射かけてくる 両極が放電してやまない私だが 搦め手《 Elle 》は 不実の《 Je 》を開門して (このとき互いの自由電子のはねつ…

偶像

ドン・フアンが愛することを愛したように ヴァレリが意識することを意識したように 希臘が知ることを知らせ 羅馬が崩壊することを崩壊させたように 中世が詠むことを詠み 祭祀がまつることをまつり 幼年が喰うことを喰い 壮年が遊ぶことを遊び 印度が崇拝する…

こんばんわ。celicaです。 お久しぶりでございます。 こんばんは。気がつきませんでしだ。それにこの caguirofie では コメントにかんしてブロックはいっさいおこなっておりません。(そんなにコメントをいただくこともなかったのです)。 そう言えば ほかに…

地中海の晩鐘・年表

年表 ○ シチリアに原住民の文化(石器・青銅器・鉄器時代) ――三種族(シセル・シカーニ・エリミア) ○フェニキアの地中海活動盛ん ・シリー群島に到る ・カルタゴ市の建設(c.815BC) ・パノルモスに植民 ○ギリシャ人の地中海進出 ・シチリアの植民市:ナ…

地中海の晩鐘(#8)

8.四月二十八日 最後のメッシナも晩鐘に応え 六千の血の地中海に揺らめく わが緑の島は月の司祭の下に駆け込み 蹴られ アラゴンに頼み トラパーニに艦隊を迎えた八月三十日 ナーポリに息をつく 宿敵シャルルの陣営が ローマの月とその衛星都市(ゲルフ)に…

地中海の晩鐘(#7)

7.アンフォラの輝く双眼は ネプチューンの静かに見守る 島の沖に深く沈み 法皇の季節が続く 晩秋―― 日蝕とともに 天体のヒエラルシーは固められ 月の司祭の塗油を受ける 恒星は 引力の関係を見事に保ち 群がる惑星を従えて 銀河の秋を飾り立てる 王シャル…

地中海の晩鐘(#6)

6.秋深く 西風(ゼフィルス)の吹く新興のエウロペの地の 太陽と月との闘争の どろどろとした渦中に浮かぶ わが緑の島―― 一二二八年 ロジェ二世の甥 コンスタンスの子は 延ばしに延ばした 十字軍(クロワザード)に発つ――第五回 聖地の王国の最後の王女を…

地中海の晩鐘(#5)

5.すでに 伝説の王シャルルマーニュの後を襲う 聖なるローマ皇帝の誕生を見て 法皇の季節―― 王女エウロペの抱く二人の孫たち 月の教会の子女たち 兄弟らは 月の聖墓をめざして 十字の章を送り 緑の島は ヴィキングを遣り イリアスを見守る 群小のアキレウ…

地中海の晩鐘(#4)

4.初秋―― フランクの王シャルルに 法の王が戴冠を迫り 十字架が新しいカエサルを創り ゲルマンの民にさらに嫁し ヘブライの月の前に跪いた フェニキアの王女《エウローパ》の 新しい血の 緑の海の帝国の噂が 風とともに届くころ 島は わが島は 永遠の都を…

地中海の晩鐘(#3)

3琥珀の道のかなたから 馬にまたがる 北方の大きな身体に鋭い眼の 黄赤色の頭髪の 大胆(フランク)で長い髯(ランゴバルド)の 神々を祀る民らの降りてくる 九月 赤いエトナを取り囲む 明晰のシラクーサと 自由のパノルモスと 豊かな島を取り巻く 尊厳者(…

地中海の晩鐘(#2)

2クレオパトラの嫁した新しい太陽から ユピテルの雷鳴がどよめき轟くとき 象にまたがる英雄はすでに喪く 東のシチリアは 緑のシチリアは あの元老(セナトール)の演説を父から子へと伝え聞き 美女シチリアは いま《彼らの海》に孤り浮かぶ 初夏―― そしてユ…

地中海の晩鐘(#1)

1ヘファイストスの混沌に漿液が鋳られて 母なる海が胎児を浮かべ 褐色の大陸を押し開けて 青い輝きを発すれば 白い島々に 錨が降ろされ 斑鳩(いかる)の群れが 帰ってくる ブリアレオスの葦が母をさまよい 潮流の深みに光る糸を垂れれば 静穏の鐘は明晰を…

地中海の晩鐘(#0)

・・・地中海文化がひとつの現実であったときは ヨーロッパもアフリカも存在してはいなかった。 (ホセ・オルテガ) 赤いエトナが海に落ちる 緑が山に踊り出し 雨が至点を通る頃 オリュムポスの黄昏に 太陽の群れが傾いて 二つの月がくっきりと現われる頃 赤…

地殻の回転・別作

夜のとばりは 僕の日の出 星の降るのは 僕の目覚め 月の光は 僕の食餌 僕の世界は 明白な夜 僕の世界は 明晰な夜 朝陽が昇れば 僕は眼を閉じ 動物園が起きれば 僕は就寝 獅子・虎鳴けば 僕のララバイ 僕の世界は 明白な夜 僕の世界は 明晰な夜 父母鳴けば 僕…

地殻の回転

地殻の回転――胎動のころ―― 1 静寂の中に人は眠り 喧噪の夢に人は苦しみ 暗闇の中に人は眠り 白日の夢に人は苦しむ 陽の目覚め 陽の還り 月のひかり 2 夜の目覚め 朝の死 昼の夢 そして夕の食餌 3 夜の明白に醒める志 昼の光明に夢見る志 ぼくは目覚めて眠…

胎動のころ

胎動のころ plutonien, plutonique ぼくは自分が陰画のままで生きて行かないはづはないと信じているのだろうか。それともぼくは頑迷に自分自身の焼付けを拒否し続けているのだろうか。 それはむしろぼくが自分の絞りを極度に開け放してしまっているからかも…

Vampirisme

Vampirisme――胎動のころ―― 彼の襞 彼のひだに触れる者は皆枯れる 彼は人の血を吸って襞を肥やす 彼の表皮には血腥いひだが二重三重に重なる やがてそれは加速度をつけ自ら増殖する やわらかいが幾重にも重なったひだ その深層の襞はやがてもはや外から中へ …

シャンソン・ド・ボードロワ

Chanson d'une baudroie――胎動のころ―― 私は深海に沈潜する 外はもはや眼中に置かず 光はもう見るまい 彷徨 あの日 μ光線を浴び すでにあの日 世界は閉ざされたのだ 闇が深く広がった 絶望の虚妄たること 希望の虚妄たるに等しい

樹々はみどりか

樹々はみどりか――胎動のころ―― 1. 史朗(アハスウェルス)は旅立つ 朝もやの中 誰も見送らず 孤り歩く 待つ者もなく とぼとぼと あてのない旅 2. たたなずむ山々白く かすみ立ち 三郷(みさと)の村の朝の訪れ わが宿の燕舞い交う軒下に 目を射るほどの…