2010-10-31 儚いガラス瓶の・・・( Mallarme ) 詩 〔ソネット〕儚いガラス瓶の・・・(S.マラルメ) 儚いガラス瓶の 臀部の回転から飛び出して 身寄りのない頸は 不意に 言葉を断つ 重苦しい通夜を 花飾ることもなく お母さんは恋人と二人で 同じ幻想の 泉(シメール)からは ついに 飲まなかったと思うわ だって 私 部屋に漂う 冷たい 空気の精(シルフ)なんですもの 尽きることのない やもめ暮らしのほかに 酒もたたえたことの ないただの花は 悲しい二人の 悲しい口づけ 闇の中に 薔薇の一輪も 何も 活けることなく 水涸れてゆく