caguirofie

哲学いろいろ

橋( Rimbaud )

灰色に結晶した空
奇妙に連なる橋の構図


手前にはまっすぐな橋
後ろには円く張り出した橋


そこへほかの橋が
あるいは斜めになってかぶさる


運河は緩やかに迂回して
明るくなったところにまた
同じ構図が浮かび上がる


けれど すべて のびやかに
ふんわりと映し出されていて
両岸の大聖堂もいよいよ
低く小さい


橋は
あるいはまだ古い小屋を抱き
あるいは旗竿を立て
標識やひ弱な欄干を帯びている


短調の詩が交錯して流れ
絃の響きが堤防に立ちこめる


赤いチョッキがはっきりと見える


周りにはほかの色も楽器も
ちらついて見える


これは流行歌だろうか
貴族らの集まる
音楽会の端くれなのか
国民讃歌の名残りだろうか


灰色の水面はやや蒼ざめて
海が太い腕を
伸ばしたようだ


真白な光線がふと上から
延びて来て
舞台はかき消された

A. Rimbaud: Les Ponts, 《 Illuminations 》