ミラボー橋(アポリネール)
ミラボー橋の下をセーヌの河が流れ
僕らの愛は
僕に想い起こさせるのか
喜びはいつも苦しみの後に来たものと
夜は更け時が鳴り
日々は過ぎゆき僕は留まる
手を結び互いにふたり向かいあえば
僕らの腕の
橋をくぐって流れ去るは
永遠(とわ)の眺めの緩やかな波
夜は更け時が鳴り
日々は過ぎゆき僕は留まる
愛はこの流れる水のように
愛は去りゆく
生が緩やかであるように
希望の激しくあるように
夜は更け時が鳴り
日々は過ぎゆき僕は留まる
日々は過ぎ去り週また週と
過ぎ去った時も
愛も戻って来はしない
ミラボー橋の下をセーヌの河は流れ
夜は更け時が鳴り
日々は過ぎゆき僕は留まる
Guillaume Apollinaire: Le Pont Mirabeau 《 Alcools 》1913