caguirofie

哲学いろいろ

蛇の素描( Valery )

( ébauche d'un serpent )


そよ風に くすくす揺れる
樹の上の 蝮のわたし
微笑みは 歯を突き抜けて
情欲は ぎらぎら輝き
三角の エメラルドから
重なった 舌をつき出し
花園を さまよい荒らす
毒液は 鱗の下に
おとなしく 卑しく隠す
賢明な わたしは毒蛇


心地よい 快楽の時
強毒を 人よ恐れよ
わたしが今 あくびをすれば
人びとの 気力は萎える
一匹の やさしい獣は
紺青の きらめきを増し
毒蛇の 姿に変身
弱い者よ わたしを思え
やむをえず 痺れを癒やして
ここに起つ わたしを思え


花々が 決意を守る
太陽よ まがいものの火よ
紺碧と 金幕の下に
死を覆い隠す おまえ
太陽よ わたしの最も
傲慢なる 共犯の火よ
わたくしの 気高い罠を
分かち持つ おまえは貫き
得ぬ甘美を たたえるおまえ
試みに 心に思う
宇宙は 純粋の非在の
中の一つの 欠陥にすぎぬと


おまえは 存在(ひと)を目覚ませ
大いなる 太陽よ火を
伴ない 間違い色の
戦を塗る 眠りの中に
閉じ込める おまえは魂
のひそかな 存在をかれの
まなこの 臣下とする
楽しげな 幻影をかれに
焚きつける おまえよいつも
わたしは 絶対の上に
降り注ぐ おまえの虚言が
好きだった おお炎で
作られた 影どもの王よ


おまえの 野生の暑さを
わたしに わたしの締め付けられた
性質の まま何かの
不幸で 凍ってしまった 
わたしの 怠惰が夢
見ようとして 来るところまで
そこ 肉が墜落し結ばれ
ようとするのか 見られる
魅力的な 場所はわたしに
とって貴いのだ ここでわたしの
憤怒は 熟す
わたしは ここで再び
勧告を 与え 焼く
わたしは みづからに耳
を傾け 屈曲の中の
わたしが 瞑想をささやく