caguirofie

哲学いろいろ

海のそよかぜ( Mallarmé)

肉体は悲しい


すべての書物を読み終えた
逃避 
彼岸へと


鳥どもも
酔ったように翔ける
未知の
泡と空の間を


ひなびた公園など


海の
中へ
濡れてゆく心を
引きとどめようともしない

清浄の白い紙を
照らす
荒んだ明晰も
消え
幼児に乳を与える若い
女も


さあ出発
帆柱を揺らす汽船よ
異国自然へと


ひとつの
倦怠は
残酷な希望に打ち震えて
まだ
ハンカチは最後の告別だと
信じている


おそらく
帆柱は暴風雨を
呼んで
風に吹かれて
帆もなく柱もなく
孤島すらない
難破船の上に
垂れ懸かるものと
心よ
水夫の歌を聞け