caguirofie

哲学いろいろ

陽があがり

陽があがり 火があがる 不審火が 桶屋の底から 丘を越えて 青空が 寒がっているのだろうか Chicago, Illinois を越えて 氷の国も寒がっているのだろうか 陽があがり 上天に寒い鶴がひとり 長いストローを突き降ろして 極地の水を齧っている 鶴は季節(とき)…

よんではいけないよ

よんではいけないよ よまれてもいけない まじっく・みらーのように 並んで立つとき 奇妙なふたご座が わたしたち遊星のあいだに 気の遠くなる時間が 翔び交う夢をゆめみるものだ 夢があたかも現実であるように この鏡にすがたを映す者は 交差点をよぎるとき …

natural

青い柿の呼吸は 小枝を伝わらず 幹は 風と戯れもせず 明日に流される年輪が倦怠の幅のあいだを けだるそうに 3歩進んで2歩戻る いや 2歩進んで2歩戻る 樹の顔は 形を変えることなく 体温は33度 根毛は泥沼のなかを 愛撫もせず殴りもせず 気孔は塞がり 酸素も…

Je est un autre.

Je est un autre.と嘆くわたしとElle suis le même.と誇るわたしと

そのあわい(恒信風)

そのあわい 神の戦士としての微笑みと 父の息子としての恥ずかしみと のそのあわい たかとかえるとのそのあわい にふとすっぽりおさまって 無重力の遊泳でも意外とない 世界 にまんざらでもない鳥どもの交感を 見たと思っていた

遊魂

遊魂 敵を愛すべし。・・・瞬間ごとに 僕らの魂は外部から与えられる。 (ポール・ヴァレリ:文学論) ああ この 行く河の 冥王の 流れは 星 絶えずして 暖光の しかも あふれる もとの 昼さがり 水にあらず 賽の よどみに 河原の 浮かぶ 寒風の うたかたは …

いのり

私の頬を打つ一筋の偽りの涙よ 私は今起とうとしている だから 打たないでくれ そっと微笑みの中に流れてくれ だから 私の頬を打つ偽りの呪いよ こめかみを伝って私を促す呪いの鼓動よ 私は今発とうとしている だから呪わないでくれ だからそっと気取らず お…

Chiaro-Oscuro ?

海から湧き出たかれは いったい何を食べているのか きみの悲しみ それとも ぼくの不安 第五の次元というのも まやかしだ かれも 同時に きょうの水脈に姿を映すからには 第六の 七・八の識などという 愛も晦渋だ ぼくたちの手が 流れの中から その回遊魚を拾…

Chiaro-Oscuro

かのじょは何を食べているのだろう ぼくの悲しみ それとも 嘲り 第五の次元というのもまやかしだ かのじょも水面に姿を映すからには この時空間を呼吸している 愛も晦渋だ しかし ぼくたちの この手が質量へと変えている それは あるいは この家 この空が ぼ…

季節が走っていたので

それは化粧室であるかも知れない 楽屋でもあり 舞台でもあり 明日は 桟敷に飛ぶかも知れない 木陰であったかも その寺の境内でも 坂道の途中でも この鉄道のプラットフォームの 脇でもあったかも ひとりの男が走りつづけていた ぼくが 走りつづけていた 幼な…

分身の概念

ものが見えるとき 問わないひとも ものが見えすぎるとき 落ち着かなく 黙るために 無意味を発し始める 紙くずに窒息すると 踊りあがって凝視する 頭の中で拒んでいても 画家気取りのスケッチを語る ばかみたいに 〈わたし〉 ぼくはこの〈わたし〉をしゃべり…

青空

まわれ まわれ 真っ赤な虚空を わが環球よ まわれ 己が連山の端から 限りない粉雪の降り積むように 芽吹き 己が青い半環の上に 朝の陽射しの映えるように のぞくとき わが環礁よ まわれ まわれ

きょうの風

突き破ることはない 風のあわいから 蝸牛の歩みを心して 陽射しの重なりを 突破らなくともよい 見守るのだ 高層ビルのガラス窓から そびえる風が降りてきて 十七歳の路地に吹きすさぶ 確かな歩道を見すえて 地下水の流れるがままに 留まるのだ 帆を揚げよう …

ゆめまたゆめ

みることとてらすこととの ゆめをほどいて ほりをとびこえた 現実がうごかなかったから 無縫のゆめをほどいていた 秩序がゆめをゆめみていたから ねむった ねむった ねむりをねむり しゃぼんだまが やねまで やねまで やねまでとんで 向こう側で連帯のきっす…

承認されざるぶぶん

はじめに卵黄があった そして 傷まざる朝があった 名づけ得ぬ天穹に向けて 投げつづけた 朝の 果実が きょうだった 少年は笑ってみせた 聴衆に向かってではなく 観衆が拍手の安心を返した 卵白が揺れたろうが 唇がやや固いと思ったが 満足のゆく微笑みだった…

彷徨

エピキュリアンの風車が 波も立たないのに 粉を碾いているから 進むまい 退くまい 侮蔑の風が 吹きすさんだのだから 取り騒ぐまい 風道が断たれた 心配も致すまい 石臼が回帰をうたっているなら 環球が動いているのだから いつも別離からの旅だ 理解の旅路を…

衣裳革命

森のかなたに舟が乗り上げ 枯渇したおおかみが 孤影の塵を巻き上げて 赤く焼けた稜線が 千年王国を迎えるがごとく 両手を打ち拡げて ぼくはゆえもなく衣裳が剥げて ビル街の丘に立ち昇り ちちを祭っていた 昼下がりからの遠吠えが湧きあがっていた いっぴき…

階段

階段をのぼると階段がある 階段をおりると階段である 山なみが 遠く 手の届かないところにある 階段の信仰を捨てたのだから 街路樹は平坦である 同じ朝陽がのぼって よどみない運河である みちがのぼる ケーブルカーを喰ったのだから ゆく足が目舞いして た…

猟犬

わたしがたわむれて エアー・ポケットがおしだまって 断 層がわらいながら うみおとす 卵 猟人が 白い肢を伸ばして 狩り集める はめ絵細工 〈わたし〉よ おまえのものなんかじゃないよ 〈猟人〉に訊いてごらん かれの犬が狩り集められる そんなとこさ

刹那が鍵

知恵の輪を組み立てる そとへ なかへ夢が鍵 歴史を逮捕する 手錠が喰い込んで 白昼夢に 変わる刹那 夢という現実 いや 現実という夢が 口をかばのように開けていた しらけという革命 手錠が鍵? 手錠が夢なの?

塔のうた

水平線を染める 赤い朝 静やかに のぼるやしろは 鮮やかな 銀緑 紫の塔をころがして 想うにあらず 想わざるにあらず 青い空を映して 波間の 島と島とのあいだの 磁場に 動く 島が動く 一瞬を見たのだろうか 塔を漕ぐ やからの海に きょう 赤い赤い朝がのぼる

屈折

すきとおった陸に刺さる 麦わらの管が折れる うるおいの月面から酸素が漏れる 理性が突き抜けて ひかりが屈する 網膜がながめる 快 明 楽 屈折が屈折であるとき 宇宙に衣を着せる 夢が夢である日

現代を知らぬ現代

熟爛の風が 葉脈を伝って 樫の幹が 踊っている 〈明日〉を跳ぶ年輪が 倦怠の幅のあいだを ホップ108 ステップ216・・・ 樹の顔が ゆがみ 汗を出す 根毛が 地冥の中を 愛撫している 生長点から 葉群れが揺れて 気孔が まさぐっている 虚空を 葉片の生理…

有明け

α 空を運ぶ という雲は いつ 墜落したのか 〈むかし〉はどこに 失速したのか 風を飛ばした という 人びとは 追憶の押し花をあらたに敷きつめないでは 風を飛ばそうからには 見ない 赤い空を 〔しかも〕 ムイシキが 明日の昼下がりの夢を解剖しないでは 円い…

同形の世界を降下する

たぶんそこは 何も泳いでいないだろう そこを知るというあんこうのほかは の深い森を 終わり無く降下する 存在は お花畑を見たように思っている 大木の地滑りがのぞかせる隙間に かれはたしかにつかれている ある尖棒によって そして降下する

Il suis le meme.――らんぼーではないけれど・・・

Il suis le même.――らんぼーではないけれど・・・ よんではいけないよ よまれてもいけない まじっく・みらあのように かれと並んで立つとき 奇妙なふたご座が わたしたち遊星のあいだに 気の遠くなる時間が 翔び交う夢を ゆめみるものだ 夢があたかも現実で…

Improviso

たとえば人は 父と酒を酌み交わす事に拠って そうたい の世界に 入って行くのであろうか 或い は 逆に 乱舞のなかで バッカスという 父の懐に抱かれる事に拠って だろうか 詩人は しかし 一体 此の世界に住むのであろうか 例え ば ポールは 墓地にしゃがんで…

言葉

ぼくはここまで来てしまった やっと 初心の船酔いだったかも ちょっと時化ただけだったか やっと ぼくの側でなく 諸君の側において いや 諸君の側においてでもなく やはり ぼくの側において 大きな牝鹿を捧げて その牝鹿こそが この 水原の色彩―― 淡い痛手 …

O Odin !

なんとしても ここだけ うまく うたえないんだ ねむれ ねむれ ねむれよ ぼうや 死を死んだのちに立て 汝 驕児よ Valkyria !! 手を その手を!

キリマンジャロの雪

リヴィングストン博士ではありませんか 都市の空気は自由にするというのに 人の生くるはパンのみにあらず 光は東方から ですか 五斗米のために腰を折らず しかし だからカルタゴは滅ぼさなければならないんですよ ブルータスよ おまえもか ああ 忘恩の祖国よ…