言葉
ぼくはここまで来てしまった
やっと
初心の船酔いだったかも
ちょっと時化ただけだったか
やっと
ぼくの側でなく 諸君の側において
いや 諸君の側においてでもなく
やはり ぼくの側において
大きな牝鹿を捧げて
その牝鹿こそが この
水原の色彩――
淡い痛手
透明の赤い血が迸る
目は海のかなたの星座を見据え
少しもたじろがず
にやけた笑いを笑い
Frankensteinの美を描き
光速度の足踏みをし
光年の石を転がしながら
熱帯魚たちよ
あなたはあまりにも近くあまりにも
遠い
夢見る泳ぎ手たちよ
大きな目を意識しながらも 愛し合い
しかもやはり互いに離れなければなら
ないと決意し ガラス越しに――そう
透明で純粋なしかも冷たいあのガラス
越しに―― 最後の接吻を交わすかの
ように
メロドラマよ
この海原
を航く傲骨
ゆめをねむり
Valhalla へ!
ねむれよいこよ
にわやまきばに
・・・