Chiaro-Oscuro ?
海から湧き出たかれは
いったい何を食べているのか
きみの悲しみ それとも ぼくの不安
第五の次元というのも まやかしだ
かれも 同時に
きょうの水脈に姿を映すからには
第六の 七・八の識などという
愛も晦渋だ ぼくたちの手が
流れの中から
その回遊魚を拾い上げていなければ
*
ものに至るとき
ひとが消える・・・
《しぬ》――ひとは何度も死ぬのだ
ぼくは かれが見えなくなるから
と同時に
ひとが現われる
《いきる》
きみがぼくをささやき始めるから
*
きみよ かれをあがめよ
かれのまことを讃えるとき
ひとが固まり
家がそろう
とおしえるとき
ぼくたちは
いくたのジュンキョーを舐めて
そのシュシをすり抜けて来た
ぼくは
――家をのろうなかれ――
その愛の侵略に膝まづき
いくたびか かれを呼んだ
ただ たれかれのまことを讃える舌を
固めながら 閉じ込めておくべき
かれの扉を開け放っていた
ぼくはかれを呼んだ
かれを 描いた
おお 肥沃な三日月地帯
ぼくは 鍬を入れることなく
耕していた 地平線に
異様にくすぶる炎が
のぼる
*
海から湧き出たかれを
ぼくはながめる 縁辺が
どこかで連なっている
かれを描くことは 不毛の
岸辺へとすすむことだ
岸辺のこちら側の
ぼくを描けないから そうだ
《ぼくたちの とにかく 田園を
耕さなければ・・・》
この地平を掘って
かれを語るのではなく
かれを栽培するのだ そのとき
ひとは ものにいたる