caguirofie

哲学いろいろ

有明け

α


空を運ぶ
という雲は いつ
墜落したのか
〈むかし〉はどこに
失速したのか
風を飛ばした
という
人びとは
追憶の押し花をあらたに敷きつめないでは
風を飛ばそうからには 見ない
赤い空を
〔しかも〕
ムイシキが
明日の昼下がりの夢を解剖しないでは
円い虚空を 仰がない
白夜
ニチジョウがふくらんで
勃起する
鼻を突き伸ばして
かきおろしている
星空の腸(ハラワタ)は


――胎児がたしかに落ちたはずだ
――どこから
――ほら そこへ 耳元へ


   β


ちをのりこえようと
まきこむせびれをひきのばして
なみうつ
かぜをとばし 〔しかも〕
そらにはいつくばる
あさ
つちにからまる
ちさなきょうき
をみる 〔そして〕
うみにそそぐ
かぜをなだめ
くもはみをひとつたたみ
うらがえした
まちをはおりでかけ
ながれをもひとつおりたたむ
かわを
はらむにしんが さかのぼる