Je est un autre.
と嘆くわたしと
Elle suis le même.
と誇るわたしと
老練な妖艶が
わたし・《Je》のまわりを翔び交い
偽りのクピドーの矢を射掛けてくる
両極が放電してやまないわたしだが
搦め手・《Elle》は 不実の《Je》を開門して
このとき互いの自由電子のはねつきは もはや 頭にない
射手を招き入れ妖艶の核が踊った
わたしは貫かれたと認めて また旅立たなければ
ならない
かなしみを力として
両極の分裂は 射手の側に見えただけなのだから
《Je》は三葉虫から屈辱を経てヒトとなる
《Elle》はヒトから哀しみを経て詩人となる
寄航だ 出港だ
静かなる分娩だ