caguirofie

哲学いろいろ

哀しみをちからとして

Je est un autre.
と嘆く私と
Elle suis le même.
と誇る私と


老練な妖艶が
私《 Je 》のまわりを翔び交い
偽りのクピドーの矢を射かけてくる


両極が放電してやまない私だが
搦め手《 Elle 》は
不実の《 Je 》を開門して


(このとき互いの自由電子のはねつきは
もはや頭にない)
射手を招き入れ妖艶の核を探る


妖艶はますます電極を固め
核弾道を進む


私は貫かれたと認めて また
旅発たなければならない


哀しみをちからとして


両極の分裂は射手の側に
見えただけなのだから


《 Je 》は三葉虫から屈辱を経てヒトとなる
《 Elle 》はヒトから哀しみを経て詩人になる