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哲学いろいろ

ロシア語とブッダ

 ▲ (サンスクリット語から来たロシア語) 〜〜〜〜
 http://kyrgyzstan1000.blogspot.jp/2011/12/blog-post.html
 ロシア語で「目覚めさせる」を表す言葉にбудить /ブディーチ/ というのがあるが、この言葉の語源はサンクリット語であり、仏陀《ぶっだ》、すなわち「目覚めた者」と語源を共にする言葉なのだそうだ。
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 ☆ これについて 借用語であるかどうかは はっきりしないと考えます。

 つまり もともとロシア語ないしインド・ヨーロッパ語族の言語に その語義の言葉はあったと考えられ ロシア語にもともと残っていたと考えられる余地があるのではないか。


 ・будить ( budi-ty ):[不完了体動詞]目覚ませる。呼び起こす。(2)〔感情を〕惹起する


 《不完了体》というのは 継続相つまりかんたんには進行形を表わします。《完了体》が 別にあってそれは 一回かぎりの動作を表わします。
 budi-ty ブディーチの -ty チ は 英語の to 不定詞の to にあたります。budi- ブディーが 語幹です。
 そして 《目覚ませる》の完了体動詞は


 ・пробудитъ( pro-budi-ty プロブディーチ):[完了体動詞]目を覚まさせる(2)奮起させる


 《 про ( pro- )》は パーフェクトなどの《 per- (を経て・を貫いて)》と同じであるらしい。
 では 自動詞の《目覚める》はというと 再帰形を用います。
 

 ・пробудитъся ( pro-budi-ty-sya プロブディッツァ):[完了体動詞](1)目覚める(2)奮起する(3)よみがえる。生気づく。

 《 -ся( -sya  スィヤ)》が 《みづからを・みづからに》を意味し 英語の oneself に当たる再帰形です。


 
 では ロシア語の《目覚める》を表わす語が もとから有る語だという根拠はいかに?
 それは もともと ロシア語の・英語で言う be 動詞が いまのブディーなる語幹を派生させたのではないかとさえ考えられるからです。

 ・ бытъ ( bui-ty ブィ‐チ):英語の be 動詞に相当します。to be ではなくぎゃくに be-to と言っています。


 これが活用するとき 現在形は むしろ 英語の三人称単数( he/she/it is )と同じ естъ( yesty ィエスチ)を用いますが 未来形などでは 次のようになります。  


 ・[未来形] буду( budu ブードゥー):〔 I 〕 will be  
 ・[命令形] будъ( budy ブッチ〔ディやヂではなく 濁りません): Be 〔 patient. などの命令形〕
 ・[形容動詞(現在分詞のごとき)] будуший( budu-syiy  ブードゥーシー): being to be (ありつつある⇒《未来の・来たるべき》という意の語)


 というわけで ロシア人(またウクライナ人やポーランドチェコユーゴスラビア)らにとっては とにもかくにも ブッダという語は なじみやすい言葉だと思われます。ちなみに 目覚まし時計は


 ・будилъник( budilynik ブディールニク)


 と言うらしい。(昔の辞書が古くなっていなければ)。ほとけさんが鳴っているみたい。‐ニックは スプート‐ニック(旅‐仲間。道連れ / 必携 / 衛星)のそれです。目覚めの連れだとか。