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哲学いろいろ

にほんごアレコレ(3)


 (11) R‐弱変化を追究してみたい。

 弱変化とは: 或る母音に 一般にイなる母音をつけ添えるもの。ふたつの母音は融合します。次の語例を参照してください。

 R‐弱変化とは: 母音に別の母音を添えるとき そこに子音のRをさしはさむ場合である。(小文字の r ではなく大文字で書くのは 小文字は分かりにくいからです)。これも 次の語例を参照してください。

 なお強変化とは: 母音が別の母音に変身して交替する場合である。何か別の音韻を添えることはない。


 ・ ma 目 →[強変化]→ mi 見 
   ・ mi 見 →[R‐弱変化]→ mi-R-ö- > miru- 見る‐(連体形)
   
 ・ ma 目 →[弱変化]→ ma-i > mä > me 目

 ・ ma 目 →[強変化]→ mö 見(も)
   ・ mö 見(も)→[R‐弱変化]→ mö-R-i > mori 守り (連用形)
      〃     →    〃 → mö-R-ö- > moru- 守る‐(連体形)



(12) 同じ連体形であるのに 見ル‐ と 守ル‐との違いはいかに?


 見ル‐は いわゆる上一段(イ列)活用であるが 守ル‐は 四段(アイウエ列)(五段・アイウエオ列)活用である。
 ちなみに 連用形は いづれも イ列語尾である。見( mi )と守リ( -ri )。


 (13) では 次の語例は どうであるか。

 ・ ta 手 →[弱変化]→ ta-i > tä > te 手
 ・ ta 手 →[強変化]→ ti ち(?)〔 道(ち)が候補となる〕
        〃   → tö > to と(引用格)(門など出入り口=引用としてのつなぎ)
   ・ tö と(手引きのごとく手とつながりはある)→[R‐弱変化]→ tö-R-i > tori 取り / tö-R-ö- > toru- 取る(連体形)


 手(た)は 手(た)‐下(もと)=袂や 手(た)‐な(の)‐こころ=掌などの タである。み‐ち(道)のミは 霊の意味の語。神聖さを表わす。み‐や(屋)=宮。み‐こ(子)=王子。

 《取る》という意味で 《ち‐る》という動詞が出来たわけではない。目(ま・め)の場合には 《も‐る(守る)》も《み‐る(見る)》も出来ているし あと 《ま‐ぐ(覓ぐ=探し求める)》という語をもつくっている。

 ▼ くにまぎ【国覓】:「山川を岩根さくみて踏み通り ―しつつちはやぶる神を言向け/万葉集 4465」
 
 
 ☆ ここでは 語の生成の過程を垣間見ようとしています。