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哲学いろいろ

言語類型論におけるあたらしい仮説です。どうでしょう?

【Q:言語類型論におけるあたらしい仮説です。どうでしょう?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/10803047.html

1. 日本文と英文とは 構文ないし文型として 互いに対極を成すという見方です。

2. 初めから 《文》を扱います。文は 話し手の思想をあらわすものである。

3. 思想は 問いと答えとから成る。話者は ひとつの文の中で自問自答する。

4. 問いは 主題( T )として提示される。答えは 主題を問いとし それに答え
る論述( P )である。答えが さらにあたらしい問いになるという意味でも 論述も 
論述主題である。

5. すなわち 文は 主題( T1 / T2 /・・・)をつらね これらを最後に論述( P )
が承けてひとつの思想をしめくくる。:

   T1 + T2 + … + Tn=P。

6. これは 日本文および朝鮮文にならって 三項形式に還元される。:

   T1  + T2  + T3=P。

   A ハ B ガ C ナリ。/ C スル。――(α)類型とする。




7. さて 議論を端折りますが 世に言う能格( ergative )言語(バスク語など)
では おおむね初めのふたつの主題提示( T1 + T2 ) を この日本文の類型と同じ
ようにおこなうことが ひとつの特徴です。 
8. つまりそのあと 論述主題( T3=P )にあっては 次のようにすでに述語動
詞の担う意味内容から見て その主体(主格)および対象(賓格)を わざわざあら
ためて示します。ていねいに あらわすかたちを採る。
この《 主格 ‐ 述格 ‐ 賓格 》を 英文にならって S - O - V で表わすこととしますと
次のような仕組みに成っています。

 〇 能格言語の文の構成:

   T1  + T2  + T3=P。

   A ハ B ガ C ナリ。/ C スル。――日本文としての(α)類型

   A-a   B-b   C= [ S′ - V - O′ ]。――能格言語の構文


   ・ A-a / B-b: 小文字のほうは 日本語のハ格やガ格に相当する格活用

   ・  S′ / O′: プライム( ′ )なるシルシは 人称接辞を示す。(つまり 
      むろん主題としての A や B を承けてそれらを示す接辞としての代名詞
      である)。

   ・ 賓格: 主格(主体)に対する賓客(客体)を示す格で おおよそ対格
     (ヲ格)か与格(ニ格)かである。

   ・ 述格: 論述主題( T3=P )に当たる《 C= [ S′ - V - O′ ] 》の述語動
     詞( -V- )の格である。つまり 主題提示〔における主格 S 〕に対応す
     る論述提示〔における述格 V )。

 

 9. A-a や B-b なる主題提示を承けたあとの論述提示としての C= [ S′-V-O′ ]
の中の S′ や O′ はたとえば こうである。

   英語‐ハ    彼‐ガ    話す。  :  (α)類型

   英語(A)-a  彼(B)-b   B′‐話す‐A′: 任意に(μ)類型とする。

               [ he-speaks-it ]


   ・ C= [ S′-V-O′ ] ⇒[ B′‐話す‐A′ ] ⇒ [ he-speaks-it ]という形である。


10. したがって 大胆不敵な推測としては 英文は ここから C= [ S′-V-O′ ]
⇒[ B′‐話す‐A′ ] ⇒ [ he-speaks-it ]の部分が突出し 独立した。つまり この論述
主題の提示の部分([ he-speaks-it ])だけでそのまま ひとつの文(思想)を表わす
かたちに成ったのだと。
むろん 代名詞( he や it )は 元の名詞に戻す。

10−1. つまり 言語一般における論述主題( T3 = P )が 日本文等で 論
述主題《 Cナリ。/Cスル。》という形になったそのあと 能格言語の文にあっては
C= [ S′-V-O′ ]という形式を採る。そしてさらに そのあと この論述主題の部分が 
そのまま文の全体に広がり しかもその言わば線形なる論理のみで文を形成すると
いうように展開した。のではないか?

   C= [ S′-V-O′ ]

   ⇒ He speaks English. : (ω)文型とする。



11. 言いかえると 英文は 主題(つまり T1⇒Aや T2⇒B)の提示を省く
ようになったということである。日本文や能格言語文では 主題提示層とそして線
形論理層との二層から成る構文である。

11−1. すなわち 英文は 次の図式の中の[線形論理層]のみから成るのだ
と。つまり二層から成る日本文(α類型)では 《英語ハ》のハ格は――[主題提示
層]において中心主題( T1=A )を提示しますという役目を担うほかに――[線形
論理層]においては  論述動詞( T3=P ⇒ Cスル ⇒ 話す) につらなる意味
連絡としては ヲ格(対格)をも担う。《英語ハ(=英語二ツイテイエバ) / (ここ
で断層があって 線形的な意味連絡の層に移る) 英語(O)ヲー彼(S)ガ―話す
(V)》。


  (α)類型の文: 英語ハ        彼ガ          話す。

  ____________________________________

 [主題提示層]: 中心主題(T1=A)・・・関係主題(T2=B)・・・論述主題
          
 [線形論理層]: ヲ格(英語‐ヲ)・・・・ガ格(彼‐ガ)・・・・・述格(話す)
          対格(O)―――――― 主格(S)―――――― 述格(V)


 ・ ハ格は 中心主題格(〜〜二ツイテイエバ)とたとえばヲ格(対格 O )との  
    ふたつの役割りを担う標識である





12. 重ねて述べるなら 英文は 主題提示層を無しで済まそうとしたのではない
か? 《 A ハ B ガ C ナリ。/ C スル。――(α)類型 》の構文を 《 S - O - V 》
文型へと進化させた。それ以上の進化がないとすれば (ω)言語類型の(ω)文型で
ある。

13. 中国文は しかし これらの構文や文型の決まりにはいっさい目もくれず 文
法無しの文法でやりくりしている。言いかえると (α)構文における主題提示の部分
もあれば 線形論理の S-V-O なる(ω)文型をも堂々と許容している。

14. (α)構文と(ω)文型との中間に 能格言語の(μ)構造文があり 一般にこ
の(μ)形式文と英文の(ω)文型とのあいだにいろんな進化形態が 諸言語において見
られるようである。


☆ 以上を問います。ご見解をどうぞ。