ハンスリック
ハンスリックと音楽の形式概念
in カール・ダールハウス『古典的・ロマン的音楽美学』 第5部 「精神的な素材における精神の仕事」
音から形成された形式は[・・・]内側から形態化する精神である。
ハンスリックにとって 形式は精神の表現であるのみならず 精神そのものである。
彼(ハンスリック)は ヤコブ・グリム〔の言語理論〕に依拠しながら 音体系の形成と個別的な楽想の鋳造に《言語精神》の作用を認識する。音楽は《言語》であり 作曲は《精神能力のある素材における精神の仕事》である。
☆ そこまで言うとすれば 音楽の美は 人間の精神のつくりだすものであると見ているか。
音楽の生み出す美しさは 人間のハカラヒとしての創作であると言い切ったか。
わたしは 美は――創作におけるハカラヒによる部分もあるはずだが―― ハカラヒを超えていると思う。創作という人為プラスαのアルファの部分にあたると思う。
単なる《形式》とも また違うようである。むしろロマン派の音楽観とさほど違わないとも言えるように思われる。