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哲学いろいろ

 イの折れ の話(10)

呼びかけのときに

 《おおおおーーイ》だとか 《ブラジュローヌやああああーーイ》というようなイの事例は イの折れか?


母音の機能について仮説を述べます。

 言葉を確定するに際して人は 対象を捉えたという時点から確定までのその内面における《うごき》として 三つの過程を持つと捉えてみます。それぞれの段階(または局面)に対応する母音を 仮定しておきます。

  1. 対象の知覚そのままの局面: a
  2. 知覚を認識として得る局面: i
  3. 認識を留保しておく局面 : ö

 母音は 仮説として これら三つに割り当てています。(1)の局面は アァとかオォと言い出している段階であり (2)としてはいくらかでもそのアァとか言って捉えた対象の中身をこれこれの中身なのだと捉えようとする段階。そしてそれを終えれば ひとまづは記憶の中に保留しておく段階が (3)です。ö は オともウとも聞こえる母音(オ ウムラウト)です。この曖昧母音で 簡単な概念認識( i )の(2)を保存しておこうというかたちです。

 いま仮説につぐ仮説ですが 動態用言(つまり 動詞)の活用形に対応させるなら つぎのごとくです。

  1 -a :不定法(未然形):向か( -a )‐ず
  2.-i :概念法(連用形):向き( -i )
  3.-ö :連体法(連体形):向く( -ö )‐〔とき〕

 すなわち 不定法活用(未然形)は 《1.知覚のままを発出するという表明のかたち》です。したがって 判断は《不定》であって そのあとにたとえば否定法(打ち消し法)の補充用言(助動詞)の ‐ズがついて その判断の表明は最終的に決まります。《向か‐ない》。
 《2.概念法(連用形)》は 体言(名詞)と同じですからそのままポンと文の中にあたかも主題としてのごとく投げ入れられます。
 《3.連体法(連体形)》は 体言につなげるかたちであり 概念法のごとくに体言として扱いますよという判断は下していない保留のかたちで 次の体言に連絡します。《1.不定法》によっても ちょうど判断保留という意味では同じようなので 次に体言に連絡することも出来ます。《むかっ腹》。《向か‐し(方向)=昔》。
 だとすると 《2.概念法》も そのあとに体言を引き連れることが出来ます。《向き‐変わり》。