st. michael's mount, cornwall
個別および一般絶対性理論
1. 神は 絶対ないし絶対性の問題です。
2. 絶対性には 個別と一般とのふたつの場(または視点)が
あります。
3. 個別の絶対性とは 或るひとりの人間つまり≪わたし≫にと
っての神〔とは何か〕の問題です。
4. 良心・信教の自由が――すでに論証抜きで公理としてのご
とく――認められているように ≪わたし≫は 自由に好き勝手に
自分の神をえらんで決めればよろしい。
5. (神は ワタシがその神を好きになってえらぶようにさせ
たとも言い得ます)。
6. それでは 人の数だけ神があるということになるのか?
7. ところが そのワタシの神は いかに個別の人間としての
自由があると言ってもそれは 例外なく≪絶対性≫なのです。
8. 絶対性に 互いに異なる内容のものが 二つも三つもあっ
ては 困ります。善なる神と悪なる神とが ともに絶対者である
となったら どうなりますか?
9. すなわち ここで≪一般なる絶対性≫理論が出て来ます。
10. ワタシのいだく主観としての神は ワタシの良心や自由
意志のえらんだものとして やはり確かに≪個別なる絶対性≫であ
る。
11. けれども その絶対性は わが心なるわが主観の内での
みあてはまるものだ。ほかの人の主観〔における神〕との照合は
出来ていないし 出来っこない。
12. つまり 言わばワタシの人生におけるわが≪固有の時≫と
しての・その内面に思い浮かぶナゾの何ものか これがわが個別
の絶対性としてわが神である。
13. ところが もし神が絶対性であるなら その神の側で・
絶対性というその世界で すべての神という神は 同じひとつで
あろうとけっきょくは考えられる。
14. すなわち 神は 個別の絶対性としてそれぞれのワタシ
にとってはマチマチ(相対的)である。と同時に 絶対性が絶対
性の領域で自己を把握するところとしては 同じひとつである。
そうでしかない。
15. かくして 一般絶対性理論としては 人間にとってただ
ひとつの≪普遍神≫を想定することになる。
16. 普遍神は 人によって≪有る神≫と≪無い神≫とに分かれ
有神論は その神の呼び名が自由である。
17. このように相対世界をすべて包む普遍神なる絶対性が理
論づけられます。