caguirofie

哲学いろいろ

ロンドンのひとりの子どもの

砲火による死を悼むを拒む( D. Thomas )

ロンドンのひとりの子どもの砲火による死を悼むを拒む


決して・・・
人類を造り出し花鳥そして
獣を産み
すべてを貶めるあの闇が
沈黙を守りながら
光明が突き破り出ようという最後の
静寂の時が
常なる流れの中につまづきながらも
海から到来する
ことを告げるまで


決して・・・
また私が再び潮の数珠繋ぎのあの
円いシオンの丘に
再びとうもろこしの穂のあの
シナゴーグに還らなければ
ならなくなるまで


決して・・・
私は決して
その子どもの死の
荘厳と炎を悼むために
ひとかけらの祈りの声も
発しはしない
喪服のちっぽけな峡谷に私の
塩の種子を
蒔きはするまい


私は人類に それが重々しい
真実とともに歩むからと
いって
人類の末路を見たりはしない
無垢と青春の更なるエレジー
もって
吐息の停車場を冒涜もするまい


最初の死者とともにロンドンの
妹が
深く沈んで横たわる
川上へのぼるテムズの
悼まざる流れのほとりに孤り
ひそかに
列をなす友どもの中に
時を超えた石畳とその
母の
暗い静脈の中に装われて
ひとりの死者の後には二度と誰もそうは
させない
Dylan Thomas ( 1915-1953 ): A Refusal to mourn the Death, by Fire, Of a Child in London