caguirofie

哲学いろいろ

おだつ

《おだつ》=ふざける・はしゃぐ・調子に乗る

1.分布地域:これまでわかったところ:

北海道・宮城・福島・富山・福井・三重(北勢)

2.出雲方言で別の意味:(ゴミのようなものが空中や水中に)舞うhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~izumobenn/izumo/jisho/m_o.htm

3.不確かなだが 分布地域に入るところ:浜松:

http://www3.cty-net.ne.jp/~su-f1221/

例:《おだち / おだっとる / こら〜でろ坊!いつまでもおだっとるとあかんが!〜 》



*福島

http://www1.linkclub.or.jp/~uminyan/jiman/j_hogen.html

四日市弁小辞典

http://www2u.biglobe.ne.jp/~ytama/yokkaichi3.htm

***

同じような語で 《ちょうける》も気になってきた。
***

おほ(大)どけ(解け・溶け・説け):[下二]間延びする・のんびりする

―おほどか:おっとりしているさま。のんびりしているさま。

―おほどき:[四段]性質がおっとりとしている。のんびりしている。

おどけ:[下二]《おほどけ の転》のんびりする。おっとり構える。?ふざける。道化る。

―おどけもの[戯け者]

とき[解き・溶き・説き]:[四段]《締まり固まっているものをゆるくして流動できるようにする意。類義語ホドキは 固く結ばれたものをばらばららにする意。》

ほどき[解き]:《ホドコシ(施)と同根。凝り結ぼれているものを ばらばらにして広げる意》

―ほどけ

―ほどこし[施し]:《ホドキ・ホドハシリ(迸)と同根。もとをゆるめて 広く散らし行き渡らせる意》種を蒔く?広く行き渡らせる?恵みを与える・・・

おぢ[怖ぢ・懼ぢ]

―おどし[威し・脅し・嚇し]

――おどおど



おど・立ち

おだ・し→おだ・ち

cf.放ち〜放し

おほ・立ち

を(小)・立ち

あわ立ち・角立ち・際立ち・浮き足立ち・角立ち・腹立つ・波立ち・節立ち・

先立ち・逆立ち・目立ち・組織立ち・

爪先立ち・

目立て・

おだつ(続)

1.おだつ=「お代わり」の意味は 「ふざける」のとは 起源として 系統が別のようです。

「旅立ちあるいは出陣」という意味での「御立ち」の前に 腹ごしらえとして さらに多く食べること またそれを勧めること といった意味あいだと 浅野健二編『仙台方言辞典』(1985東京堂出版)にありました。

2.普段はウェブでひととおり間に合うと考えてしまって 書物を参照することを二の次としていました。

図書館で大きな辞典類を見てみて わかったことは 次のようです。

「煽てる」の語源についての仮説四件:

1.「押し起て」(大言海

2.「起き立て」(賀茂百樹)

3.「追ひ立て」(両京俚言考)

4.「招(を)き立て」:その種の振る舞いに誘う(和訓栞後編)

前田富祺監修『日本語源大辞典』2005小学館



ただわたしとしては 納得していません。

むしろ 「おぢ(懼)・おどし(威・脅・嚇)」と同源としての「おだ」に「す」がついて さらに「おだつ」に転じたかと空想されます。

それは 「おどす」のかたちで広島県江田島では 「煽てる」を表わすという例もわかったからです。

さらに森下喜一『東北地方方言辞典』(1987桜楓社)によると

ふざける=おだす(宮城);おだつ・おどける(仙台)

とあった。つまり「おだ‐す」そのものの例もある。

別様に次の語例:

おだける:猫がさかる(庄内・最上金山)

山形大学山形方言研究会編:『山形県方言辞典』1970)

つまり 「おぢ・おどし」のときの恐怖の感覚から 意味あいが変わっているという語例が参考になるかに思われる。

「おぢ・おどし」には 「しかるべき原因によってではないにもかかわらず 《おどおど》する」というような内容がある。ここから その「おそれ」の部分を除いての「おどおどする」仕種や態様 そして 「そうする理由が必ずしも妥当なことではないのに」という点 これら二点が 「おだつ」にも 共通であるように考えられる。 

*あるいは 

煽てる:「嘲弄する」の意で 広島・愛媛で用いるという。

〃:「揺る・ゆすぶる」の意で 長野県南佐久郡で用いる。

(前田監修本)

**

平山輝男ほか編『現代日本語方言大辞典』1993明治書院

これは 全八巻および補巻一巻の大辞典なのだが 上記の前田監修・小学館本よりも 情報が少ないようであった。「おだつ」もしくは「ふざける」の項目に関してである。

***

別件:

「たって」(達ってと表記する場合がある):「理を断ちて」=つまり「道理を無視してでも」の意から来ているという。

松井栄一編『小学館日本語新辞典』(2005)

■ dialectes
1.[方言地図]で検索した結果の第1頁(全37万件)

http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&ie=UTF-8&rls=GGLD,GGLD:2004-43,GGLD:en&q=%E6%96%B9%E8%A8%80%E5%9C%B0%E5%9B%B3

(#1)[方言地図作成計画]は 情報提供をつのっているサイトのようです。

(#2)[ふるさとの方言〜方言ページの道しるべ〜]は 一部のサイトでは ページが消えています。でも 全国的にかなりの情報量です。

(#3)[方言地図アーカイブス]は 国立国語研究所の『方言文法全国地図』を活用したもののようです。

ちょっと気になったのは 次のように表現しているところです。

《ここに公開する地図や白地図は,商用目的を除き,研究・教育用にご利用いただいてかまいません。》

(#7)[方言地図]は カタツムリ方言マップを提供しています。

(第2頁の#4)[Yahoo!カテゴリ―方言]は Yahoo!での登録サイト集です。

(P.2の#5)[the contrast table of Japanese dialects]は 書籍集をかかげて その集積の中から 「全国方言地図の項目対照表」が見られるようになっているようです。これも 国立国語研究所の関係のようです。

などなど。

2.[方言マップ]での検索は 134件のみでした。

http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&ie=UTF-8&rls=GGLD,GGLD:2004-43,GGLD:en&q=%E6%96%B9%E8%A8%80%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97

3.たとえば次の本が出ていることがわかりました。

『全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路』http://books.livedoor.com/item_detail&author_index=3&isbn=4101441219.html

4.[方言地図 ふざける]で検索すると 480件のサイトがあるようですが いくらか見てみると [おだつ]にかんして 必ずしも明確な説明がまだないようです。

http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&ie=UTF-8&rls=GGLD,GGLD:2004-43,GGLD:en&q=%E6%96%B9%E8%A8%80%E5%9C%B0%E5%9B%B3%E3%80%80%E3%81%B5%E3%81%96%E3%81%91%E3%82%8B

5.[マックとマクドの境界線]もありましたよ。

http://weekly.freeml.com/chousa/hamburger.html

従来の東日本と西日本(「谷」が「や」と「たに」に分かれるなど)の分布とは やや異なっているようにも見えます。