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桜井茶臼山古墳

石室囲む「玉垣跡」発見、全国で初 桜井茶臼山古墳
6月12日20時51分配信 産経新聞

 初期大和政権の大王クラスの前方後円墳奈良県桜井市桜井茶臼山古墳(全長200メートル、3世紀末〜4世紀初め)で、被葬者を納めた竪穴式石室を方形に囲んだ柱穴列が見つかり、県立橿原考古学研究所が12日発表した。死者の魂と外界を区別する結界施設とみられ、神域を守る神社の玉垣を思わせる構造。「玉垣跡」が古墳で見つかったのは全国で初めてで、実態がほとんど分かっていない大王クラスの葬送儀礼の復元へ大きな手がかりになりそうだ。

 

 また、大量の鏡片も見つかっており、鏡の副葬も全国最多級になる可能性もある。

 同古墳は昭和24、25年に石室の発掘が行われたが、さらに詳細な研究のため再調査。その結果、竪穴式石室周辺から、60年前の発掘では見つからなかった柱穴列を確認。東西南北で各2〜3本ずつが見つかり、いずれもすき間なく掘られていたことから、玉垣と推定。築造当時は南北12.5メートル、東西10メートルの方形に約150本の柱を並べていたという。柱穴の深さは1.3メートルもあり、柱の高さは3メートル近くに及んだとみられている。

 柱は直径約30センチの円柱とみられ、古代の宮殿の柱に匹敵する太さ。着色塗料は検出されず、同研究所は柱は白木だったとしている。

 石室周辺からは大量の炭も出土し、被葬者の遺体を石室に埋葬したのち、火を使った儀式が行われたことも判明。玉垣跡のすぐ外側には、長さ1メートル前後の平らな石でふさいだ溝状遺構も2カ所で確認され、今後さらに調査を進める。現地はすでに埋め戻され、説明会は行われない。


 ■桜井茶臼山古墳

 奈良盆地東南部に6基が集中する古墳時代前期(3世紀中ごろ〜4世紀前半)の大型前方後円墳の一つ。石室を特殊な壺で囲んでいるのが特徴。石室は盗掘されているが、碧玉(へきぎょく)製品や武具など副葬品は豊富。被葬者は分かっていない。6基の被葬者は大王級とされ、同古墳と、近接するメスリ山古墳以外は陵墓に指定され、調査はできない。

桜井茶臼山古墳では、銅鏡の破片153個も出土した。昭和24、25年の調査で見つかった20枚近くの鏡と合わせると、計40〜50枚を副葬したとの見方も浮上。国内最多の40枚が出土した平原(ひらばる)1号墓(弥生時代後期、福岡県前原市)を上回る可能性も出てきた。

 鏡の破片は竪穴式石室周辺から出土し、大半が数センチ大に割れていた。60年前の調査では、邪馬台国の女王・卑弥呼に対し、中国から下賜(かし)されたともいわれる三角縁神獣鏡などが見つかっており、同研究所は鏡の種類の特定などを進める。

 古墳出土の銅鏡は、大和政権の大王が、大陸の王朝から下賜されたものを国内の地方首長らに配布して服属を誓わせたとの説や、鏡の光によって被葬者の魂を邪悪なものから守るための「葬具」といわれるなど、謎の多い副葬品。同古墳の鏡は、大和政権の権力構造を考える上でも重要なカギを握るとみられる。