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哲学いろいろ

奈良出土の三角縁神獣鏡は中国製か 蛍光X線で分析

10/13(土) 8:25配信 産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181013-00000526-san-cul

 奈良県天理市の黒塚古墳(3世紀後半)から出土した33面の三角縁神獣鏡
について、京都市泉屋博古館(せんおくはっこかん)が大型放射光施設「ス
プリング8」(兵庫県佐用町)で蛍光(けいこう)X線分析したところ、鏡に
含まれる銀などの微量元素の割合が、古代中国鏡とほぼ一致することが分かっ
た。橿原考古学研究所が今月刊行した調査報告書「黒塚古墳の研究」で紹介さ
れている。


 三角縁神獣鏡は、古代中国の魏が邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)に贈った
「銅鏡百枚」とする説がある。ただ、中国国内では確認されておらず、中国製
か国産かをめぐって長く議論が続いている。今回の調査結果により、黒塚古墳
三角縁神獣鏡が中国で製作された可能性が高まったといえ、論争に一石を投
じる成果となりそうだ。

 33面の三角縁神獣鏡は平成9〜10年にかけて実施された発掘調査で、竪
穴式石室(長さ8・2メートル、幅1・2メートル)から出土。一つの古墳か
らの出土数としては全国最多で、文様や銘文から全て中国から輸入された舶載
鏡(はくさいきょう)と考えられている。


 泉屋博古館はその後、スプリング8の強力な放射光を使い、蛍光X線分析を
実施。鏡に含まれる錫、銀、アンチモンの3元素の組成数値を調べ、グラフ化
したところ、古代中国の前漢後期〜三国時代(紀元前1世紀〜3世紀)の鏡の
組成数値の分布エリアに収まることが判明。黒塚古墳の三角縁神獣鏡前漢
期〜三国時代の中国鏡が、同じ原材料で作られている可能性が高まった。一方
で、同古墳から出土した画文帯(がもんたい)神獣鏡1面も、同じ分布エリア
内に収まっている。


 泉屋博古館は過去にも、久津川車塚古墳(京都府城陽市)出土の三角縁神獣
鏡などをスプリング8で蛍光X線分析し、同様の結果を得ている。

 中国青銅器を専門とする同館の広川守副館長は「黒塚古墳の鏡は材料的には
中国鏡と考えられる。どこで作られたのかは分からないが、中国で製作された
可能性もある」としている。