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哲学いろいろ

半島

http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2015/11/02/211043

朝鮮半島は日本外交の大きな試練

日米、米韓の同盟を通じて、日韓は同一陣営内にあり、日本は大陸の勢力と直接対峙する必要はありませんでした。幸運にも、朝鮮半島において敵対的な勢力と対峙するという状況にはなかったのです。問題は、そのような状態は持続するのかということです。

半島統一の未来予想図

朝鮮半島の統一において中国がこだわるであろうことは、中朝国境が混乱に陥らないこと、統一朝鮮が自国の安全保障上の脅威とならないこと、そして、統一朝鮮に対して最大の影響力を行使できる存在となることだと思います。
他方の米国は、当然、自国への安全保障上の脅威を最優先します。米国にとって朝鮮半島から発せられる最大の脅威は北朝鮮核兵器開発です。よって、米国が一番こだわるのは、朝鮮半島の非核化ということになるでしょう。論点は、米軍が自国の基地の維持に拘るかということですが、私は、ここはあっさり引くのではないかと思っています。


朝鮮半島は、少なくとも当初は米中間の緩衝地帯となるでしょう。しかし、時の経過とともに中国の影響力が勝っていくはずです。米中の力が均衡する最前線は、北緯38度線から、対馬海峡へと南下します。地政学的には、120年前まで時計が戻ってしまうということです。

中国の伸長が引き起こす国内社会の変化

中国の伸張を通じて懸念される事態は、国際社会における緊張感の高まりに止まりません。私がもっとも懸念しているのは、中国と対峙する国の国内政治における変化や国内社会の変化です。


共産主義の、一党独裁の、法の支配とは異質の社会と向き合う過程で、民主主義国は揺さぶられ、社会すらもそちらに引っ張られてしまうからです。
外交において、国境線を一方的に変更するような動きがある場合、他国はそれに対抗せざるを得なくなります。サイバーセキュリティーや諜報活動への懸念が高まれば、自由でオープンな社会は危機に瀕します。どうしても、安全保障を名目に市民の自由を制限する方向に行かざるを得なくなるからです。それでなくとも、民主主義国家は独裁国家の「効率的」に見える国家運営に魅了されがちです。


米国の自由が最も危機に瀕したのは、ソビエトとの冷戦が激しかった1950年代の赤狩りの時代でした。共産主義の脅威と戦うために、皮肉なことに、自由主義や民主主義を妥協せざるを得なかったからです。今後、我々が恐れなければいけないことは、中国と対峙する国は、中国と似てくるという事実なのです。