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▼ (ゴータマ アーナンダを責める) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アーナンダよ。わたし(=ゴータマ)はいま・・・お前に言った、
『・・・
アーナンダよ。いかなる人であろうとも 四つの不思議な霊力(四神足)
を修し 大いに修し (軛を結びつけた)車のように修し 家の礎のよ
うにしっかりと堅固にし 実行し 完全に積み重ね みごとになしとげ
た人は もしも望むならば 寿命のある限りこの世に留まるであろうし
あるいはそれよりも長いあいだでも留まることができるであろう』と。
アーナンダよ。修行完成者がこのようにあらわにほのめかされ あらわ
に明示されたけれども お前は洞察することができなくて
『尊師はどうか寿命のある限りこの世に留まってください。幸いな方
(=ブダ)は寿命のある限りこの世に留まってください。
――多くの人々の利益のために 多くの人々の幸福のために 世間の
人々を憐れむために 神々と人々との利益のために 幸福のために』
といって修行完成者(=ブッダ)に懇請しなかった。
〔* 弟子のアーナンダが ゴータマ氏に《もっと長生きしてください》と懇
願しなかったと ゴータマさんはなじっている〕
アーナンダよ。もしもお前が修行完成者に懇請したならば 修行完成者はお前
の二度にわたる(懇請の)ことばを退けたかもしれないが しかし三度まで言
ったならばそれを承認したであろう。
それだから アーナンダよ これはお前の罪である。これはお前の過失である。
(中村元訳:『ブッダ最後の旅――大パリニッバーナ経――』1980 第三
章 [四七] pp.92-93 )
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☆ すなわち アーナンダがゴータマに対して 長寿を懇請しなかったことは
《過失であり罪である》と言うのである。この判断は 成り立つか? あたまは
確かか?
アーナンダは このように咎められてそのあとただちに長寿を懇請しているので
すが 《いまはお止めなさい。修行完成者には懇請してはいけない。いまは修行
完成者に懇請すべき時ではない》と答え返されています。
そうしてこのような押し問答が何度にもわたって繰り返されつつ そのおしまい
のところでは 《これは お前の罪である。お前の過失である》と告げられてい
ます。