caguirofie

哲学いろいろ

ヘラクレイトスのロゴス


 https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9076752.html

 われ なれ(汝)を 愛す。と言えば その中核としては この広い世界の中から英文での《 I love you. 》なる《ひとつの論理的な――情感をも論理として見立てたかたちでの――直線でつながるような関係》が 一般に意味内容として浮かび上がります。よね。

 このとき 《愛》が世界のすべてにわたって通じるような《ことば》であり《論理》でありまた人間の倫理として《法則・原理》であると見るのが オシへとしての《ロゴス》だと思います。

 ヘラクレイトスの言うロゴスは しかしながら ワレにもナレにも愛スにも 明と暗との両面があるというもののようです。論理や法則として用いられる明るい側面だけではないのだと。

 ロゴスには 影もつきまとっている。世界には ワレやナレのほかにもいっぱい人が動物が生物がいるし自然環境もあるぢゃないか。人と人との関係は 愛だけか? 言葉は 世界という場に何かがユラギを持ち始めて浮かび上がったならこれを言わば切り取ってそのモノ・コトを示すものである。

 ユラギは だけれども その場じたいでもある。そのチカラでもあると見られる。そのような意味での自然が ピュシスということらしい。(のち physical や physics に用いられる)。

 あらためて言えば 言葉で世界を切り取ったとき 切り取って得ているもの(ワレやナレ)と切り落としたもの(ほかの人びとなど)とがある。言いかえると言葉で拾い上げなかったものは 背景へしりぞいて影となる。

 この影のことをも《ロゴス》はふくむのだというのが ヘラクレイトスであるらしい。それゆえか 《暗い人(ホー スコテイノス)》と呼ばれたと言う。

 趣旨説明では 明と暗とを 図と地で表わしています。パスカルなら 《幾何学の精神と繊細の精神》と言ったのかも知れません。あなたは 論理のほかに感性・感情を推し出すのでしょう?

 ロゴスには 奥行きも動きもあるといった感じですが どうですか?

 《はじめにロゴスありき》のロゴスは――オシへとは別に―― これも パルメニデスによれば《真理の道》という超経験的な場があるというときの《存在》のことを言います。《明と暗 図と地》で捉えられるモノ・コトをすべて含みしかもそれらを超越する全体のことを言っているかと。(そういう解釈です)。

 ヘラクレイトスの原文に沿ってでは必ずしもなくて 解釈の問題としてのべます。

 こんにちハという日本文は どう感じますか?
 特には ハ格(主題提示の格)がどのようにはたらいているのか?

 大げさに言いますと 《こんにち》というひとつの主題で このわれわれの世界を切り取ってまづはあなたさまに提示しますと言っています。
 こんにちハ ご機嫌どうですか? という意味で あなたの世界の情況はどうですかとあいさつしています。
 時間を《きょう・このいま》というふうに限定してはいるのですが。

  I love you. という英文は ワレとナレとそしてその関係としての愛スとで この世界を切り取ったわけです。
 ほぼそのような論理一本で意味が決まりますし その周りの《地》は後ろにしりぞきもう見えない。見えるのは おれとお前とのふたりとその関係。

 ところが 日本文で おれハ お前ガ 好きだ。と言うと  なるほど 《 I と you と love 》とで世界をやはり切り取っているのですが 意味はまだこれだけでは決まりません。

   ( a ) おれガ お前ヲ 好く。 ( I love  you. )
   ( b ) おれヲ お前ガ 好く。 ( You love me. )

 というふうに ふたとおりの意味を持ち得ます。つまりは 文脈で決まるかたちを採っています。
 つまりは 文脈とは 言葉をえらんだときに切り取って捨てた背後の《地》の世界です。
 という恰好において 日本文では なお《図と地との 明と暗との 主役と脇役との関係》が生きています。

 これは おれハ というそのハ格のはたらきです。こんにちハも 同じです。
 言いかえると 英文では このような主題提示をおこなう要素がほとんど無くなっている。

 主題をひとつ 世界の中からえらぶ。ということは その話し手たるわたしにとって世界がそのえらぼうとする主題において言わばユラギを起こす。わけです。
 このユラギが 英文ではすでに一本の論理〔的な意味内容〕として文を言い出す初めから主語なら主語として固定的に決まっています。
 日本文ではなおユラギを保っています。

 ヘラクレイトスがこのことを知ったら よろこぶかも知れません。それとも それは誤解だよと言ってやはり《暗いひと》になるのか。みなさん おしえて。