E. Satie
○ 歌詞と拍子の合わせは どこでも起きるのだろうか。
アンブロワーズ・トマ
彼の芸術?
よろしければ そんなことは語りたくない。ここでは 漠然としたいくつかの印象を述べるにとどめる。あんなにも奇妙な彼の音律法について なぜ語らねばならぬのか?
フィリーヌは歌う――《あたしはーあ ブロンドのティタニア・・・》
ラエルトが言う――《美しいお方よ 私たちにーいお憐みを・・・》
これでもうたくさんだ。
それにしても私は雨傘をいったいどこに置いてきたんだろう?
[・・・]
さいわい あの雨傘は高価なものではなかった。
[・・・]
雨傘はエレベーターのなかに忘れてきたのにちがいない。
[・・・]
私の雨傘は 私とはぐれてしまって ひどい不安に駆られているにちがいない。
[・・・]Erik Satie: Ecrits by Ornella VOLTA
岩崎力*1訳:『エリック・サティ文集』 1997発行
- 作者: エリック・サティ,オルネラヴォルタ,Ornella Volta,岩崎力
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1996/12/01
- メディア: 単行本
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