caguirofie

哲学いろいろ

季節が走っていたので

   それは化粧室であるかも知れない
   楽屋でもあり 舞台でもあり 明日は
   桟敷に飛ぶかも知れない
   木陰であったかも その寺の境内でも
   坂道の途中でも この鉄道のプラットフォームの
   脇でもあったかも


   ひとりの男が走りつづけていた
   ぼくが 走りつづけていた
   幼な友だちがいたかも知れない
   ランドセルが揺れていたかも ランドセルの
   山が積み残されていたかも


   言葉?


   連れていたとしたら 貸借対照表のように
   全くの無意味の意義を・・・
   家庭教師のアルバイトを致す教師が下から
   ・・・もしのぞいていたとしたら


   時に 二人乗り三人乗りのオートバイが走った
   男女 相入り乱れていた
   そしてぼくは 走りつづけていた
   洋画のムーヴィー・ハウス
   その上を縦横に駆けていた


      *


   ぼくは見続けなければならなかった
   語らないために 語りつづけなければ
   留まるために走りつづけなければ
   ならなかった


   季節が走っていたので
   いつも 棚卸しをしていたのだ

人間の液状化

が始まっている。
まづ のっぺらぼうの顔が姿をあらわす。
その下から・皮膚の穴から 地下水がにじみ出て来る。


たぶん 意志の喪失。とその慢性化による。