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哲学いろいろ

宇宙の創生・進化

パラダイムは以下のようなものである。

1) 宇宙は“無”の状態から量子重力的効果によって生まれた。

2) 生まれた直後のミクロな宇宙はそこに存在する真空のエネルギーの効果によって加速的急激な膨張を始めた。まもなく真空の相転移が起こり、真空のエネルギーは潜熱として開放され、宇宙はマクロな火の玉宇宙になった。(加速度的急激な膨張と引き続いて起こるエネルギーの解放による火の玉宇宙の創生のシナリオをインフレーションモデルという。)

3) インフレーション中に仕込まれた物質密度の揺らぎは、火玉宇宙の膨張と共に次第に成長し、銀河や銀河団など、現在の宇宙の構造へと成長し、今日の豊かな宇宙が作られた。

http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2006jiku_design/satou.html

佐藤勝彦


宇宙とは物質が満ちた時空多様体の事である。ビレンケンのいう“無”とはしたがって単に物質が存在しないという意味ではなく、その入れ物である時空−時間空間−も存在しない状態である。ビレンケンはこの“無”の状態から量子重力効果により極めて小さいがしかし真空のエネルギ−が高い状態にある、ミニ時空がトンネル効果により作られるモデルを示したのである。トンネル効果とは、物質が波の性質を持っているため本来通過できない山の内部をあたかも自分でトンネルを掘って通過してしまう量子論的効果である。量子宇宙は大きさゼロの状態からトンネルをくぐって出てくるまで、虚数の時間で膨張してゆく。トンネルからところで実時間となりインフレーション宇宙へとつながるのである。虚数の時間は元々トンネル効果の確率や経路積分の便宜から導入されたものである。実時間の前に虚数の時間として宇宙が始まったとすれば、始まりの時空の特異点も無くなる。虚時間は実は時間軸が空間軸と区別がつかないものになったという意味である。