caguirofie

哲学いろいろ

イスカリオテのユダ小考(つづき・その3)

2006-12-05 - caguirofie061205よりのつづきです。

ユダの心の物語

《一同が席に着いて食事をしているとき》 イエスは――名指しであるか否かを問わず――はっきりと裏切り者が誰であるかを明らかにして言ったのである。マルコという記者によると

エスは言った。

はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている。

弟子たちは心を痛めて、《まさかわたしのことでは》と代わる代わる言い始めた。イエスは言った。

十二人のうちの一人で、わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者がそれだ。

マルコの福音書 (新聖書講解シリーズ (2)) 14:18−20)

その前に すでに 祭祀長たちに引き渡しの対価を交渉していたという記事もあったわけだが この晩餐の席で きわめて明確に ことは発覚した。言いかえると もともと イエスとの間に 了解があってのことだとしても 明らかにユダその人が 裏切り行為をしようとしていると語られたのである。
このときのユダの心境を推し測ってみよう。どうであろうか。

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#11

もくじ→2006-11-26 - caguirofie061126

価格の決定への一つの見方a

東京 午後二時半。《ロシア・タイム》がスタートする。在日外銀のチーフディーラーT氏は大手町のオフィスでテレックスのキーをたたき ソ連の注文を取り次ぐことの多いパリ国立銀行シンガポール支店を呼び出す。モスクワは午前九時半 クレムリンが動き出す時間だ。同視点のドルの売値は一ドル=二五一円。東京市場に比べて五〇銭近いドル安。《いつもの熊の手口だ》と舌打ちする。ソ連が仕手筋として外為市場に登場したのは昨年(1984年)春から。欧米市場より取引量が少なく 相場を操作しやすいアジア市場で活発に動き回る。
大量にドルを売り 相場が軟化したところでドルを買い戻す。一度に五千万ドル近くも売り出すのでT氏も対抗上ドルの売値を下げざるを得ない。厄介な新参入者である。
日本経済新聞1985年4月2日 連載記事《ザ・マーケット――変わるマネー地図――》・1)

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