caguirofie

哲学いろいろ

【Q:日本人の西洋と比べて劣っている事は?】

優劣を問うこともあるでしょうし 何に焦点を当てるかはともかく
この西と東との比較対照は 長年の課題です。

日本人論として避けてとおれない大問題です。グローバル化が叫ば
れ出す前ごろから 下火になって来ているとしてもです。

ただし 範囲が 生活と歴史のすべてにわたっているので なかな
か一筋縄では行かない問題のようです。

そこをなおもう一点 やはり江上波夫ですが おぎないたいと思い
ます。

▽ (江上波夫遊牧民と農耕民とについて) 〜〜〜〜〜〜〜
牧畜・騎馬民族の特徴は 自分たち人間は労働するものではないと
いう考え方です。
働くのは牛馬や農耕民の仕事でね。
自分たちはその上に立って支配する。
軍事を司り 学問し 政治をする。

牛馬と言えば もともと彼らはたいへんな発見をしている。羊 山
羊 牛と馬 これだけ飼って世界を横行することを考えた。何もな
い所へ行っても これだけで全部間に合う。

食べる方は乳と乳製品で十分 毛と毛皮で 服も夜具もテントもで
きる。それ自身が生きた缶詰です。
鞭ひとつで草のある所 水のある所へかついでいってくれ かって
に子供も産んでくれる。あとは寝ていればみんな事足りる。人間よ
りよっぽど頭がいいですよ。


彼らはやがて牛馬の代わりに機械を働かせるようになる。あるいは
植民地の人々を働かせる。それが帝国主義となり 産業革命となり 
いわゆる近代文明を生んだ。

いっぽう農耕民族は人間は労働するものだという考え方なんですね。
ここのところが牧畜・騎馬民族との大きな違いです。


農耕民族からみれば 牧畜・騎馬民族には文化がない 彼らは野蛮
人だというのですが 文化の型が違うのです。

牧畜民は個人主義で 自由で 民主的です。文化は農耕民族の創出
したものを摂取すればよい と考えている。

実際にいろいろな文明を融合して普遍性のある世界的な文明をつく
ってきたのは農耕民族ぢゃなく 牧畜民なんです。

ヨーロッパでは 地中海世界ではなくてゲルマンが牧民なのです。
そういう意味で 世界史における牧民の役割を明らかにするのが
私のテーマになっちゃったんです。
 (江上波夫(著者代表):天城シンポジウム 日本人とは何か――
  民族の起源を求めて―― 1980 pp.16−17)
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☆ 天皇家は 遊牧民型か?

ただしそれは 河内タラシ政権(400年ごろ)からの特徴であり 
その前に 三輪イリ政権(300年ごろより)としての天皇家があっ
た。
(その前が まだ原始心性を引きずっていて知性が混沌としていた
例の卑弥呼の世紀です)。

つまり 騎馬民族が来たかどうかを措いておいて 思想として遊牧
民型が 勢力を持つに到った。

これが 現在にまでつづいています。