caguirofie

哲学いろいろ

#29

――源氏物語に寄せて または 観念の資本について――
もくじ→2006-07-08 - caguirofie060708

章三補 《光源氏‐明石の君》なる対関係――観念の資本の《世間(差別)》形態――

世の中 〔源氏には〕いと煩はしく はしたなきことのみまされば 《せめて 知らず顔に 〔都に〕ありへても これよりまさることもや》と 〔源氏は〕おぼしなりぬ。《かの須磨は 昔こそ 人の住みかなどもありけれ 今は いと里離れ 心すごくて 海士(あま)の家だに稀になむ》と 〔源氏は〕聞き給へど・・・
For Genji life had become an unbroken succession of reverses and afflictions. He must consider what to do next. If he went on pretending that nothing was amiss, then even worse things might lie ahead. He thought of the Suma coast....
(須磨――巻頭)

章三で見たように 物語は このような書き出しに始まって 源氏の須磨への自発的な(?)流謫は もはや既定事実のように扱われている。

続きを読む