caguirofie

哲学いろいろ

#21

――源氏物語に寄せて または 観念の資本について――
もくじ→2006-07-08 - caguirofie060708

章二補 《観念の資本》小論Ⅱ ――夕顔の系譜としての浮舟論――

このように考えるとき――ここで物語のほうに 移りたいと思うが―― 対関係の過程の中で 神(または 仏)を見て 必ずしもそれを信仰の次元へと持っていかないとしても その問題を 別のかたちで 導入しようとしたのは 物語において 浮舟なる女を登場させたことだったと言えよう。浮舟像について 出来る範囲で 触れておこう。
浮舟というひとりの女性について つまり 一方で 薫とのあいだに対関係を結ぼうとし 他方で 匂宮とのあいだにやはり対関係を結んでしまったこの浮舟なる女の像について その愛および愛欲の過程が 切実に捉えられていると考えてよいからである。いま 浮舟の物語に絞って 同じく論じていくことにしよう。

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