caguirofie

哲学いろいろ

#7

――源氏物語に寄せて または 観念の資本について――
もくじ→→2006-07-08 - caguirofie060708

序・補 対関係の光源氏類型(蛇足)

長い序の蛇足です。あらためて 序の内容を整理します。
《オホクニヌシ〔王または市長〕‐スセリ姫》の対関係像は ある意味で――想像裡における問題として―― 
《シャクンタラー姫‐ドゥフシャンタ王》類型
もしくは
《アベラール‐エロイーズ》類型
に通じるものがある。また 光源氏においても わづかながら 
かれと藤壺との対関係 
あるいは
のちの正妻・紫の上との対関係形式
において そのような美的形式としてのウタの構造が 形成されるかに見える。
ただ 後者の三ないし四例が オホクニヌシ類型とちがう点は オホクニヌシ類型では その美的世界が まだ どこか彼岸性へと逃げていくかたちの中にあり(つまり 国家成立へ向けての上昇段階にあること) また後者の諸例においては そこでも 美的世界が特定され確定した現実のかたちを採ったとはまだ言い難いものの それが彼岸の世界へ逃げてしまうことには 頓着しないでよい基盤の上にある。と言ってよい。これは ナシオナリテの確立にかかわっていると考えた。市民社会が国家なる社会形態にまで拡張され確立するかどうかにかかわると。

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