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哲学いろいろ

《臨界点》の国際的な経常収支不均衡

(田中努・日経20080307経済教室)

  • 米国の消費は長期制約の範囲を超えており こうした不均衡を維持できない《臨界点》が訪れている。
  • 米通貨当局による金利引下げは ドル下落を加速させるもろ刃の剣になりかねない。

世界的貯蓄過剰が 米消費拡大を招く

  • 米国の経常収支の赤字が拡大しはじめた時期のほうが 世界貯蓄が増えた時期より早い。
  • 世界貯蓄の流入が米国に集中した

ただし その要因として

  • 米国における技術革新の速度が速い
  • 金融市場が発達している
  • 米国経済の将来性に対する信頼性が高い

つまりたとえば

  • 中国などでは財産権が未確立
  • 金融市場が未発達で資産形成の機会が乏しい

だが グローバル・インバランスの持続可能性は急速に低下しつつある

  • 米国の家計行動が長期的な予算制約の許容範囲を超えている
    • 家計貯蓄率はすでにゼロ近傍にある
    • これから 貯蓄率がマイナスの領域に入っていくという予測ではなく むしろ家計が債務を返済していくために住宅建設と消費の圧縮という形で調整が行なわれる
    • これが グローバルインバランスの全面的な調整の引き金となる可能性
  • ドルの減価
    • 金利の引き下げは ドルの減価を加速させうる
    • 輸入面で ドル下落が国内価格に反映されにくくなっている
    • 経常収支の赤字の削減は容易ではない
  • 米国経済の規模の縮小を伴なう大規模な世界的調整に発展する可能性

世界経済のガバナンス

  • 新興国の経済問題なども視野に入れた国際協議体制の確立
  • 一国の通貨が基軸通貨であるために基軸通貨国の政策によって世界経済が左右される体制の調整
  • 代替通貨としてのユーロが未成熟なので成熟化させる