caguirofie

哲学いろいろ

#6

もくじ→2008-07-30 - caguirofie

第一章 《アマテラス‐スサノヲ》体系――その神話的・黙示的世界をとおして――

第一節 《ヰ゛シュヌ‐シワ゛》体系

§6

ひとまづ ここで 以上の《リグ・ヱ゛ーダ》によって捉えた世界を整理しておこう。
いまは 初源の神ブラフマンおよび傍系の多くの神々を捨象しているが その上で この世界は まづ基本的に 《ヰ゛シュヌ‐シワ゛》連立体系として捉えることができるということ。その第一次的・基本的形態は 《最高の居所(天界)を支えるヰ゛シュヌ》(――天つ国の主宰者アマテラス――)と 《われら子孫を生みつがんことを願うその対象の神であるシワ゛》(――イヅモにおけるスサノヲ――)との相関関係においてあった。《イヅモの国の統治者スサノヲ》が 《高天の原のアマテラス》と初源的連関を保ったことは――少なくとも 記紀体系において そう伝えられたことは―― この点でも 重要である。
次に この体系は 第二次的に しかもやはり基本的な形態として 変容を成す。すなわち ヰ゛シュヌおよびシワ゛の 互いの互いによる揚棄の過程として。シワ゛の側は《ヰ゛シュヌの秘義を悟る方途を知りて 特権者たる汝(ヰ゛シュヌ)のその名を宣言》し そこで 相手方の《ヰ゛シュヌは 〈われは シピヰ゛シュタなり〉と宣言》する。逆に言えば この局面としては 一方で 《ヰ゛シュヌの変容ないし普遍一般化》を表わし 他方では このヰ゛シュヌの変容によって 《この変容をわれらより秘匿するなかれ もし汝(ヰ゛シュヌ)が戦闘において 他の形相をとりたりとせば》というようにして――厳密には 詩人ないし人間界を媒介として そうだというようにして―― シワ゛が自己を展開し その固有の領域において 《自律の神》となって新たに生まれる という位相である。

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