2007-05-13 #28 歴史――日本人の―― もくじ→2007-04-16 - caguirofie070416 第十章b 旅立ち 《天平勝宝二(750)年三月一日の暮(ゆふべ)に 春の苑の桃李(ももすもも)の花を眺矚(なが)めて》 大伴宿禰家持は こう詠んだ。 春の苑 紅(くれなゐ)にほふ 桃の花 した照る道に出で立つ少女(をとめ) 春苑 紅尓保布 桃花 下照道尓 出立をとめ 《をとめ》の漢字は 二字とも女偏に感と需。 (万葉集 巻十九・4139番) わが園の 李の花か 庭に降る はだれのいまだ残りたるかも 吾園之 李花可 庭尓落 波太礼能未 遺在可母 (十九・4140) 続きを読む