caguirofie

哲学いろいろ

#16

――源氏物語に寄せて または 観念の資本について――
もくじ→2006-07-08 - caguirofie060708

章二 《光源氏‐夕顔》対関係―― 一夫一婦なる対関係理念――

すなわち われわれは 以上の前提をもつならば 同じその前提に立って まずこの《夕顔‐光源氏》対関係を 弾劾しなければならない。
対関係の崇高な理念は ここで――夕顔のばあいは あの悪しき無限に立つものではないが―― 観念の無限性の上に立つものであると明言して 批判されなくてはならない。現実の上に立ってはいない。観念の資本は なおここで 別種の停滞域のもとにある。
夕顔は むしろ われわれのあのエロスを この美的世界において 動物と共有してはいない。むしろ かのじょの対関係は 《エロス的人間》のただ観念による成就ということになる。そのような観念の成就をうたうことは 停滞性にあり つねにわれわれはこれを アウフヘーベンせずばなるまい。むしろそうなのである。

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