caguirofie

哲学いろいろ

第二部 歴史の誕生

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第三十二章 取り替えばや物語あれこれ

いざ吾君(あぎ)

ふたたび 忍熊の王の歌について ひと言。

いざ吾君
振熊が 痛手負はずは
鳰鳥の
淡海の湖に 潜きせなわ
(記歌謡39)

《吾君(あぎ)》という呼びかけは 皇子オシクマがいくさのきみイサヒの宿禰に親しんで言っていると捉えた。だが 呼びかける者が逆であったなら どうか。仕える者イサヒが《我が君》と言っているとしたなら。
痛手を負う者が忍熊で 痛手を与える者は振熊である。
この紛らわしさを解決するために 日本書紀のほうは 表現に工夫をこらした。ただし 忍熊の王が呼びかける形を定着させた。

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