caguirofie

哲学いろいろ

surrey, uk


あまえ

次のようなことをわたしは言っていたんですね。

 ★  ・・・ただそうすると、「甘え」の前に主観的な「愛」があったという
ことになりますよねえ。すると「甘え」は「きっかけ」ではない、ということに
なりませんか。甘えがあっても無くても、最初から愛があったということになり
ますので。
 ☆ この言わば《こころの哲学》をめぐって きわめて微妙なことを思ってい
ます。述べます。


 1. アマエは もはや土井健郎の説からも離れてのごとく 《心理》という
心の〔一般に表面での と思うのですが 心の〕ウゴキではない。


 2. 思考を停止したようなかたち(エポケー状態)において 心理や知覚や
思惟からも自由に起こる心の伸び(また 明け)であり しかも基本としてすで
に具体的なおこないにかかわると思われるからには 心としての踏み出しである。


 3. 相手とのかかわりとしては 一たんそのキッカケなるアマエにあって 
心は言わば中立の状態になる。(これが エポケー)。と同時に ふと相手のほ
うへ向けて 何らかの心のウゴキを持つ。これが 踏み出しだ。


 4. そのあとでは 考え(分別)がはたらくようになる。その踏み出しとし
ての心の内容を表現しようとする。


 5. 順縁と言いますかその順縁にあっては あるいはそして仲がわるい逆縁
であっても プラスの前向きのフミダシであるなら そのまま波風を立てないか
たちのおだやかなヱクトル関係として自己表現する。


 6. 逆縁にあっては そしてあるいは順縁であってもわざと順縁ではないフ
ミダシをおこなおうと思えば マイナスの・後ろ向きの・過去のいきさつにこだ
わる・恨み節となるようなヱクトルが動き出す。

 7. ★ 「甘え」の前に主観的な「愛」があったということになりますよね

 ☆ そのように捉えられる事実とは アマエは 別個の契機であると思われる。
アマエの存在(そのような事実にとっての前後の過程への キッカケとしての介
入)は 言うなれば半ば独立していて ほかの事態からは屹立しているというか
のように 次の一手としての心の形成およびそこからのフミダシを あらたに―
―あらたに です――みちびく。こう考えられます。


 8. つまり アマエがキッカケとして起こることと その前後の過程におい
て好意や愛情やあるいはぎゃくに仲たがいや確執があることとは いちおう切り
離して捉えることができる。その意味では アマエは 天与のヒラメキのごとき
モーメント(瞬間・きっかけ)である。

 9. ★ 甘えがあっても無くても、最初から愛があったということになりま
すので。
 ☆ ぎゃくに《相手とのかかわりにおいて愛(愛情でしょうか)があっても無
くても どこかの時点でアマエが起こりその相手とのマジワリ過程に介入するこ
とがある》 というふうにアマエは捉えられるのではないか。


 10. ならばアマエは 因縁の縁起や因果関係からは自由なデキゴトだと考
えられ 或る種の仕方で 特異点だとさえ考えられる。


 11. そのときの心のあり方を――つまり心理のウゴキ・片向きなどとして
――微分するかのように捉えようとしても 出来ない。塔の尖端のごとき起こり
方としての存在であって・また介入であって ほかの心理や周りの出来事や情況
やからひとり屹立しているのだと見たほうがよいと思われる。






 ★ 〜〜〜〜
 料理の話を持ち出すと、「料理がまずい」とクレームをつけたそこから、愛が
始まると言わないと、「甘えはきっかけ」とは言えないと思うんですよねえ。し
かし実際は、最初から相手のことが好きで、 別に料理の出来不出来はどうでも
いい。マズいとか何かいわれても、それで愛がさめるということはない。そうい
う話に思えるんですよね。
 〜〜〜〜〜〜
 ☆ この事例を応用問題として考えるならば:

 12. 《「料理がまずい」とクレームをつけ》るというフミダシが アマエ
を契機として現われたものか? これが 鍵をにぎります。


 13. 愛は はじめからあったという場合も そのフミダシから始まったと
いう場合も 前後過程をつうじてなかったという場合も いづれも考えられます。


 14. そうしてむろん《「料理がまずい」とクレームをつける》おこないは 
アマエが契機とならなくても あり得ます。 


 15. すなわち
 ★ しかし実際は、最初から相手のことが好きで、 別に料理の出来不出来はど
うでもいい。マズいとか何かいわれても、それで愛がさめるということはない。
そういう話に思えるんですよね。
 ☆ というふうに アマエの介在と関係なく繰り広げられるドラマのひと幕も 
現実にあり得ます。


 おかげさまでこのように考えが煮詰まって来たようです。