《移人称》????
(あ) 西武百貨店の手前にある「ビックリガードの五叉路」と呼ばれているところで 私は一週間前に死んだ篠島が歩いていた。
(保坂和志:『未明の闘争』)
(い) はじめてあなたと関係を持った日 帰り際になって父は「きみとは結婚できない」と言った。
(藤野可織:『爪と目』)
(岸田将幸:「移人称小説」広がる 一人称、いつの間にか三人称に 日経 2015・8・22朝刊 40面文化欄)
むむ!
(い)はまだ分かる。《父》は 娘に〔勝手に〕成り代わって 《きみ》と呼ばれている男(つまり 娘と《関係を持った》彼氏)に対して 思いを述べている。
(あ)は 分からない。文脈があったら 分かるか?
○ 私は一週間前に死んだ〔と思っていた〕篠島が歩いてい〔るのを見〕た
とおぎなうのが妥当だと思うが そのように《察し合い》ができるからと言って こんな表現を使ってよいわけではないはずだ。
この現象を どう見るか。