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哲学いろいろ

にほんごアレコレ(1)


 (1) あらたに始めます。主題や話題を追いかけあっちへ飛んだりこっちへ来たりして問い求めて行きます。
 きょうは 日本語の語彙―― 一つひとつの言葉――の成り立ちを追ってみます。


 (2) 目尻と眦(まなじり)とは どう違うか? どちらも《目の後(しり)》を言う。そして それによってものを見る顔の部位を 《め》と《ま》とで使い分けている。そこが違う。メとマとで どう違うか?


 (3) 母音がアのほうが先に成ったと思われる。だけの違いだと思われる。

     ma ま(目) > ma-i > mä > me め(目)

母音がア終わりのマが 先に成って そこに 母音のイを添えた。これを イの折れと言うが その結果 ア+イ なる母音のつながりは エというひとつの母音へと溶け合った。と見る。ちなみに最初は 口の開けが広いエだったと考えられ その後 狭いエになって行ったか もしくは 広い狭いを区別せずに どちらでもひとつの/ エ /という音韻として出来上がった。


 (4) アという母音が エなる母音へと変化した。これを イの折れが媒介した。この間接的な媒介――アという母音にイなる音を添えるかたち――のことを 弱変化と呼ぶことにする。



 (5) だとすると 強変化と呼ぶ音韻の変化があると予想される。次である。

     ma ま(目)> mi み(見)

   すなわち 子音( m- )を別として母音のアが そのまま直接に 母音のイに変身した。つまり母音の交替 これを 強変化と呼ぶことにしている。


 (6) ところが 強変化は イの折れ(アからイへの交替)だけではない。

     ma ま(目) > mö も(≒見)( mö-ru 守る; ma-möru 守る; mi-ma-moru 見守る)

  先ほどの mi み(見) も -ru る を添えて mi-ru 見る という動詞をつくっている。それと同じような成り立ちである。
  ちなみに このルを添えるかたちも 言ってみれば弱変化である。R‐弱変化と呼ぶとよい。
  見ルには 見リ( mi-Ri )という語形はないが モリ・マモリ(守り mamo-Ri )というR‐弱変化がありうる。つまりは これは 何を隠そう 子音のRを介在させたイの折れである。( -ru ‐ル という終止形の成り立ちは のちに見てみます)。


 (7) 整理してみよう。


   強変化(母音交替):  ma ま(目) > mi み(見)
   強変化(同  上):  ma ま(目) > mö も(≒見)
   弱変化(母音添加):  ma ま(目) > ma-i > mä > me め(目)
   弱変化(R+イの折れ): 〔ma ま(目) >〕 mö も(≒見)> mö-ri もり(守り)


   母音交替: -a > -i  および  -a > -ö
   母音添加: -a > -a-i > ä > e  および(R‐弱変化): -ö > -ö-i > -ö-R-i > -öri


 (8)の予告編: 母音添加の方式で Rを介在させない場合もあります。

    ö (オ・ウ) >  〔イの折れ〕  ö:-i  >  ï (ウに近いイ) >   -i イ

     kamö かも(賀茂)・かむ >  kamö-i  かむい >  kamï  かむ >  kami かみ(神)
     * 途中のカムイという発音の段階で この語は アイヌに入って行ったと考えられている。


 (きょうは これでごきげんよう
  2015-03-30 - caguirofieへつづきます)