caguirofie

哲学いろいろ

花びらのように

よろしい
きみの言葉を信用しよう
その個性を注目したわけではない
きみという身元のわからないひと
少し前から ずっと前からそこにいた
いま見つけたのだ
言葉たちが
広大の内なる海を語っているからではなく
かすかなさざ波に託して 
かのじょたちが
外なる亜大陸に信書を寄せているから
和親でなくとも
何の布告を発していなくとも
その海をきみが受け入れたとき
新しい世紀が始まったのだ
きみについて語ろう
きみの海が閉じており
いまだ芽吹かずとも
その無秩序の水源が
遠い岸を 幻影のうちに取り巻いている
きみについて語ろう


    *


きみは泳ぐことをやめたようだ
いま
ひとつの大きな毬となって
浸りきっていた横町の構造に
花びらのように接しているのだ
きみのなかの
沈黙も喧噪も
きみの言葉が
たとえ海の豊かさを奏でなくとも
原初の日常のさなかの
語らなくてもよいもの
嵐のような貧しさだけを
発見の種族を語っていさえすれば
ぼくはきみの位置について語ろう
きみの魅惑的な貧窮について語ろう