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哲学いろいろ

Augustinus on Hermes Trismegistos

Q&Aのもくじ:2011-03-26 - caguirofie
アウグスティヌスは ヘルメス文書から 次のようなくだりを抜き書きして ヘルメス・トリスメギストスの思想を批評しています。
 まづは 偶像の神々は 人間がつくったものだというくだりおよびそのような偶像崇拝は滅びるであろうと予言するところです。あらかじめ言えば 最終の結論としては その思想を批判しています。

 ▲ (ヘルメス文書より) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 われわれの論議は 人間と神々との関係 協力関係について明らかにするであろうから アスクレピオスよ 人間の能力と力とを知れ! 主または父 ないしは最高の存在者である神は 天界の神々(* bragel.註 =天使)の創造者であるが それと同じように 人間は 神殿の中で人間の近くにいることに満足している神々(* すなわちその偶像)の製造者である。
  (『アスクレピオス』23および24参照)
  (アウグスティヌス:『神の国』vol.8 ch.23  著作集12 茂泉昭男訳)

 ▲ (同上) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 アスクレピオスよ エジプトが天界の似像であることを知らないのか。さらに もっと真実を言えば われわれの大地は全宇宙の神殿なのである。

 しかし〔未来〕全体を予知することが英知の者にふさわしいのだから あなたがたには次のことに当然ながら無知であるべきではないのだ。すなわち エジプトの人びとが 敬虔な精神と熱心な敬神とによって神に仕えたことが無益であったと思われる時がやがてやってくるということに。
  ((『アスクレピオス』24参照)
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     * ちなみに《神々の偶像は 人間がつくった》というのは 
     訳者註ならびに解説によると アリストテレスも言っている
     らしい(『政治学』1・2・7)。姿かたちよりも その思
     惟や振る舞いにかんして人間のありさまを投影したのだと。



 これにかんするアウグスティヌスの批評は 護教論的なところは極力省きしかも議論を出来るだけ端折ることにすれば つぎのごとく。
 ◆(アウグスティヌスのヘルメス評) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 エジプト人ヘルメスは・・・こうした事柄(* 偶像の神々への崇拝)がやがて取り除かれる時の到来するのを知っていたので・・・歎き悲しんだのである。
 ・・・・
 〔* どうして知ったか? それは旧約聖書の〕預言者たちはそれらの事柄を予見し 歓喜をもってこう言っている。

   もしひとが神々を作るとしても みよ そうしたものは神々ではない。
        (エレミヤ書 16:20)

   主は言われる その日には わたしは地から偶像の名を取り除き 
  重ねて人に覚えられることのないようにする。
        (ゼカリア書13:2)

 聖なるイザヤはこのこととの関連で 特にエジプトについて

   エジプトのもろもろの偶像は み前に挙げられ エジプト人の心はかれ
  らの中に溶け去る。
         (イザヤ書19:1)

 等々と預言したのである。
   (『神の国』8・23・3)
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 ヘルメス・トリスメギストスは 偶像崇拝に未練があったということのようです。