caguirofie

哲学いろいろ

μ さんの物語〔 μ −4〕

ファースト・キス!?

相当深い峡谷に沿った山道を進んでいると 空閑地があったので そこに車を止めて 一休みした。向かい側一面には 杉の林が茂っていたが 視界は開けている。

外に出て のんびりしていたが なんとはなしに 二人のあいだに キスの問題が現われた。
車にもたれた μ さんに近づいたところ 笑っている。抑えて 小さく 下品にならないようにしているが くすくすは 止まらなかった。

一たん場を離れた。時間を取った。くすくすが静まるまで待った。言葉はかけなかった。それで駄目なら 駄目でよいと考えた。

いくらか静まったころ 近づくと やはり だめだった。ついに くすくすは 止まらなかった。とりあえず そうっと唇を近づけたままでいたから 強行すれば 唇をつけるだけなら 出来た。強行せず。物語は ここで一巻のおわりだと思った。

そのあと わたしは もう一度だけ かのじょの心を見たと思ったとき プロポーズをしたのだった。