わたしが受けたいぢめ(1)
高校に入学して間もないころ 昼食の時間に席について 弁当箱を開いてみると おかずが少し なくなっていた。一画がごそっと減っていた。
中学からの友だち・同窓生は 一人もいなかった学級だった。(全校には沢山いた。)その前に 席について弁当を皆が食べ始めようとしたとき 担任の先生がわたしを呼んでいるというので 職員室に行って帰ってきたところだった。
先生は いいえ 呼んでいませんというので いぶかしく思いつつ 帰ってきたのだから 弁当は 誰かが故意に食べたのだとすぐに気づいた。
まだ 互いに よその中学から入学してきて 顔を見合わせた程度のところである。名前を覚えたか覚え損ねているかの時である。
これは 同級生にしては また 荒手の歓迎のためのいたづらにしては 速度違反であるとわたしは認識した。うううんと 天を(天井を)見つめた。いたづらも考えようによっては おもしろいと一瞬 思った。ただ これを 今の段階で認めたなら 今後とも このような 速度違反を常習とするかも知れないと恐れた。
よし この・あるいはこれらの犯人〔たち〕に対しては 今後いっさい友だち扱いをしないことにしようと決めた。(事務的にのみつきあうという意味)。何ごともなかったように 残りの弁当を食べ始めた。
かと思ったら 左隣の生徒が よう だれだれ(私の苗字)君! と満面に笑みを浮かべて話しかけてきた。それからというもの 十分の休み時間は いつも ほかの周りの者をも巻き込んで しゃべりあって時を過ごすことになった。(翌年の冬には 皆でスキーに行くというところまで発展し その後 就かず離れずの状態になっている。)
というお話し。つまりこれは わたしにとっては 数少ない表に現われた事件である。この種の事態は 珍しい。