■
(木村重信)
イメージはロゴスに従属するのではない。
ロゴスはイメージから抽象され、イメージの働きを基礎にして、象徴的な思考が可能になり、その結果として哲学や科学などがうまれた。
このイメージないしその記号としての美術の本質は変貌であって、発展ではない。
進歩、退歩とか開化、未開とか言われるが、これはすべてのことをロゴスに翻訳して考える習慣が我々にしみついているからである。
・木村重信著作集〈第2巻〉:はじめにイメージありき
(1925〜 民族芸術学 美術史学)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
現代美術の著しい特性として、即物的傾向をあげることができる。
抽象美術はシュジェ意識の否定という形で、シュルレアリスム美術は日常的意識を否定することによって、共にオブジェへの傾きを示す。
作品がオブジェとして即自的に完結することと、普遍的な人間性のシンボルとして対自的になること、この総合を求めて現代美術家は茨の道を歩む。
・木村重信著作集〈第6巻〉:現代美術論