2010-11-22 Miss Robinson 詩 小道具は何もない 海という大道具 海底の嵐がドーランをにじませて 毎年 緞帳芝居がはげてゆく 貿易風をジュースにして 街の記憶を取り戻そうと 衣裳を引き裂きながらまた愛の幕が上がった 酔客が心の床を踏み鳴らそうと雷が打つと 観客が静まって 自己視に追いやられる カルネヴァーレの旋回の中に 難破船がまた帆を張ろうと 劇画の中に母役が立ち エレクトラのいをが跳ねる 恋人は海を跨いで行った 誠実のねぢれを ミトコンドリアのヒステリーにひっかけて 俳優は叫ぶ 舞台中央の深淵から