caguirofie

哲学いろいろ

Miss Robinson

小道具は何もない
海という大道具


海底の嵐がドーランをにじませて
毎年 緞帳芝居がはげてゆく


貿易風をジュースにして
街の記憶を取り戻そうと


衣裳を引き裂きながらまた愛の幕が上がった
酔客が心の床を踏み鳴らそうと

雷が打つと
観客が静まって
自己視に追いやられる


カルネヴァーレの旋回の中に
難破船がまた帆を張ろうと


劇画の中に母役が立ち
エレクトラのいをが跳ねる


恋人は海を跨いで行った


誠実のねぢれを
ミトコンドリアのヒステリーにひっかけて
俳優は叫ぶ
舞台中央の深淵から